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シタール

 1960年代にビートルズが『ノルウェーの森』などでそのサウンドを取り入れ、一躍大人気となったシタール。ジョージ・ハリソンの先生でもあったラヴィ・シャンカールの活躍とともに、インドを代表する楽器として世界中に知れわたるようになる。

 シタールは、13世紀にアミール・フスローという人物によって発明されたと伝えられる。その語源はペルシャ語のセ(3本の)・タール(弦)といわれ、昔はその名の示すとおりシンプルだったものが、同じくインドの楽器であるビーナ(琵琶の起源)などの影響を受け、今日の姿に発展したといわれる。まるで美術品のように、楽器の表面には優美で複雑な装飾が施され、木製のネックの両端には大きな夕顔の瓢箪でできた丸いボディをもつ。

  また、シタールの不思議な音色の秘密は、アーチ状のフレットの上下2層に張られた20本もの金属弦。主に演奏されるのは上段に張られた6〜7本のメロディー弦とリズム弦で、下段に張られた13本もの弦は、上段の弦の音に共鳴し自動的に鳴る構造になっている。メロディー弦は深く引っ張ることにより、ヴォーカルのような伸びのある表現が可能となり、また同時に響く共鳴弦やリズム弦等の残響により、独特な浮遊感がかもし出される。

 北インドの古典音楽を演奏するために発展してきたシタールは、通常タブラ(打楽器)とタンプーラ(通奏低音楽器)の伴奏と共に、インド独自のラーガ(メロディー)とターラ(リズム)という音楽理論に基づいて、即興で演奏される。特に楽譜は存在せず、曲のテーマは演奏する季節や時間にそって必然的に決まる。また、共演するタブラ奏者ともその日に初めて顔を会わせることもあり、演奏家本人でさえ演奏を始めるまで何も予想がつかない。観客の反応にもインスピレーションを受け、さらに演奏が高まり、時には一曲1〜2時間にもおよぶ演奏が繰り広げられる。

 即興でつづられるシタールの音色は、時には静かにまたある時には激しく、聴くものの心を彩るのである。

文/シタール奏者 武藤景介
6月25日にiichikoグランシアタにて、ステージレクチャーコンサートを開催。インド音楽の魅力を披露してくれた。

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