Vol.71 2016 WINTER

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 昨年度に引き続いての共同制作オペラ。今年度から新たに九州交響楽団が加わり、劇作家ワーグナーの初期の傑作「さまよえるオランダ人」を新制作いたします。演出にオペラ界の巨匠ミヒャエル・ハンペ、装置・衣裳デザイナーに世界的画家へニング・フォン・ギールケを迎え、歌手も国内外の垣根を超えた最高水準のキャストが集結します。iichiko総合文化センターの中山欽吾館長が本公演の見どころを伝えます。


公益財団法人大分県芸術文化
スポーツ振興財団
iichiko総合文化センター館長

中山欽吾

 大分で、本格的なワーグナーのオペラを上演するのは、初めての事だと思います。イタリアオペラや、パリやウィーンで一世を風靡したオペレッタに比べて、ドイツオペラはまだポピュラーとはいえませんが、バッハ、ベートーヴェン、ブラームス、そして英国で活躍したヘンデルも、ドイツにルーツがあり、ドイツオペラも、ワーグナーを中心に素晴らしい作品があるのです。そのワーグナーが作曲したオペラ「さまよえるオランダ人」は、ヨーロッパに伝わる幽霊船伝説をヒントにして作り上げた傑作で、1843年にドイツのドレスデンで初演されました。

 ワーグナーのオペラは長時間かかるケースが多いのですが、この作品は珍しく短い方に属していて、休憩時間を入れなければ2時間10分ほどです。しかも休憩なしに、通して演奏されることが多いのが特徴です。また、彼の作曲の特徴は、曲中で特定の人や状況に特有の主題や動機として短いメロディーが使われることです。これは示導動機(またはライトモティーフ)と言われ、それらのモティーフが、様々に変奏・変化して演奏されることで、楽曲に変化と統一をもたらしています。

 さて、あらすじは、嵐に遭遇したオランダ人船長が、自分の力で乗り切ってみせると豪語した事から、悪魔に呪われて永遠に海をさまようことになる所から始まります。そして7年に一度だけ上陸が許されたときに、船長に永遠の愛を誓う女性が現れない限りこの呪いからは抜けられない運命を背負うのです。

 あるときに娘を持つノルウェー船のダーラント船長に出会います。しかもこの娘ゼンタは実はオランダ人船長の話を聞いており、その船長が現れたことに夢かと喜び、彼こそ自分と結ばれる人だと思い定めます。

 しかし彼女にはエリックという恋人がおり、裏切りを責める会話を聴いてしまった船長は絶望して船を出帆させてしまいます。それを知ったゼンタは真の愛を誓って海に身を投げますが、その献身によってオランダ船は沈み、船長とゼンタは天に昇って行きます。

 なお、このオペラには感動的な合唱が何度も出てきます。水夫達が歌う勇壮な合唱や、機織りの娘達が歌う合唱など、数あるオペラの中でも屈指の素晴らしさです。

公演名 平成27年度 文化庁 劇場・音楽堂等活性化事業(共同制作支援事業)
iichiko総合文化センター・びわ湖ホール・神奈川県民ホール・東京二期会・
九州交響楽団・京都市交響楽団・神奈川フィルハーモニー管弦楽団 共同制作公演
ワーグナー作曲 歌劇『さまよえるオランダ人』
(ドイツ語上演・日本語字幕付き)
日時 3/26(土) 開場 13:15 開演 14:00
会場 iichikoグランシアタ
チケット [チケット発売中]
GS席13,000円、S席11,000円、A席9,000円、B席7,000円、[完売]C席5,000円
[U25割引]半額(A〜B席のみ)
キャスト
指揮大勝秀也
演出ミヒャエル・ハンペ
装置・衣裳へニング・フォン・ギールケ
舞台監督幸泉浩司
管弦楽九州交響楽団
合唱二期会合唱団、新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部
出演 オランダ人(呪われた船の船長)  :ロバート・ボーク
ダーラント(ノルウェーの船長)  :斉木健詞
ゼンタ(ダーラントの娘)     :横山恵子
エリック(猟師、ゼンタの恋人)  :福井敬
マリ―(ゼンタの乳母)      :竹本節子
舵手(ダーラントの船に乗っている):高橋淳 ほか

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