Vol.68 2015 SPRING

iichiko グランシアタ ジュニアオーケストラ チャイコフスキーに挑戦

3月29日(日)、iichikoグランシアタ・ジュニアオーケストラの第6回定期演奏会が開催されました。
すべてチャイコフスキーでまとめた今年の演奏会。当日の模様をリポートします。

 結成以来、年一回の定期演奏会をベースに着実な成長を遂げてきたジュニアオーケストラ。5周年の節目を迎えた昨年は、NHK交響楽団メンバーとの特別演奏会や、ベルリオーズの難曲『幻想交響曲』への挑戦など数々のステージを成功に導きました。
 第6回目の定期演奏会となる今回の演奏曲目は、オール・チャイコフスキーで構成。なじみのある曲が多い一方で、高い表現力が求められる作品たちに、子どもたちがどう取り組むかが注目されていました。
 今年の指揮者は、第3回定演で団員の心をひとつにした山下一史さん。緊張した面持ちでステージにのぞんだ子どもたちでしたが、一曲目の組曲『くるみ割り人形』で山下さんが指揮棒をおろした瞬間から、素晴らしい演奏を繰り広げはじめました。次々と繰り出される特徴あるリズムと旋律を、それぞれの楽器を用いて表情豊かに奏でる姿は感動的。いかにも楽しそうに全員が演奏に集中しており、聴衆をグンと引き付ける力強さもありました。続く『弦楽セレナーデ』は、一転して叙情的で優美な世界に。弦楽奏者同士のコンビネーションのよさが伝わってきました。そして最後を飾るのは『交響曲第4番』。様々な顔を見せるこの大作を、子どもたちは伸び伸びと演奏していました。
 演奏終了後の打ち上げで山下さんは、「大分にジュニアオーケストラがある環境は、とっても幸せなこと。今日の感動を忘れずに、生涯を通じて音楽と関わってもらいたい」と伝えました。充実感に満たされた子どもたちの笑顔に、早くも来年への期待が高まります。 

みんなで作り上げた定期演奏会

たくさんの人たちの協力があって開催できた第6回定期演奏会。
当日のドキュメントを写真で追ってみました。

01 定期演奏会の開催に向けて実施した商店街へのPR活動も、楽しい想い出。皆さんから、温かい言葉をかけてもらいました。
02 直前リハーサルの様子。本番に向けて、山下さんから細部にわたる入念なチェックが行われました。
03 本番前の楽屋風景。笑顔のなかにも、直前までお互いの演奏について確認し合うジュニオケ女子たち。
04 演奏会前に行われた恒例のロビーコンサート。チェロ独奏やトンボーン、クラリネットのアンサンブルが披露されました。
05 組曲『くるみ割り人形』で開演。熱気あふれる演奏に、大きな拍手が巻き起こりました。
06 お互いの演奏パートを確認しながら、丁寧な演奏を見せた『弦楽セレナーデ』。素晴らしい協調感が伝わりました。
07 集中力をキープしながら、思いきり演奏を楽しんだ『交響曲第4番』。第4楽章が終わると、大きな拍手が巻き起こりました。

♪当日の演奏プログラム♪
[1]組曲「くるみ割り人形」作品71a

『白鳥の湖』『眠れる森の美女』と並び、チャイコフスキー3大バレエ音楽として知られる人気作。各楽器の音色を生かしながら楽しく演奏できました。

[2]弦楽セレナーデ 作品48

チャイコフスキーの中では古典的な特徴を持つ作品を、弦楽器メンバーがチャレンジ。難しいリズムが続くパートも、見事にクリアしました。

[3]交響曲第4番ヘ短調 作品36

作者自身が「運命にさいなまれる人間の苦悩」をテーマにしたという、子どもたちにはハードルの高い交響曲を、高い集中力で成功に導きました。

[アンコール曲]くるみ割り人形より「トレパーク」

第6回定期演奏会を終えて

インスペクター対談 加藤 歩未 さん × 佐藤 亜海 さん

※インスペクターとは、演奏面以外のことで楽団全体を取り仕切る役職です

インスペクター 加藤歩未 さん
(ホルン・高1)

ー今日の出来映えはどうでしたか。

佐藤 全員が思いきった演奏が出来たと思います。開演前は不安に思うこともありましたが、練習の成果を伸び伸びと披露できました。

加藤 細かいことを言うとキリがないですが、みんな自分から音楽を楽しもうという気持ちにあふれていて、それがひとつのオーケストラになって楽しく演奏できたところがよかったですね。

ー今年は全曲がチャイコフスキーでした。

佐藤 私は創設時から参加しているのですが、過去にもチャイコフスキーを演奏したことはありました。でも、どれも壮大で、奥が深い曲ばかりなので、子どもの私たちに太刀打ちできるのかなって不安もありました。私はヴァイオリンだから『弦楽セレナーデ』も演奏したのですが、みんなアイコンタクトでタイミングをはかりながら、集中力を高めてのぞみました。

インスペクター 佐藤 亜海さん
(ヴァイオリン・高1)

加藤 チャイコフスキーは体力も神経も使いきる、大変な印象を持っていました。でも演奏していくと楽しくなるんです。大変だからこそ味わえる楽しみがあるんだなと感じました。たとえば『交響曲第4番』は勢いが必要な楽曲ですが、ただ勢いだけでなく、ちゃんと他のパートを聴き分けることが必要だとか、いろんなことを学びました。

佐藤 山下先生にも感謝しています。親身になって熱心に教えてくれ、なによりもわかりやすくて、面白い。音楽がどんどん好きになっていきました。

加藤 最初は役所広司に似ている人という印象でしたが(笑)、とにかく私たちを乗せるのが上手くて、そんな先生に出会えたのも大きな収穫です。

ー最後に来年度の入団メンバーへメッセージを。

佐藤 多くの仲間たちと演奏することが、成長に繋がることを学んでもらいたいですね。

加藤 みんなで音楽を楽しんで、その楽しさがにじみ出る演奏会にしていきたいと思います。

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