Vol.65 2014 SUMMER

emo INTERVIEW

子どもたちと、音楽のプリミティヴな魅力を共有したい

中川 賢一 さん(ピアニスト)Kenichi Nakagawa

 0才の乳児から入場できるコンサート『Concert for KIDS 〜0才からのクラシック〜』。会場には授乳やおむつがえスペースも設けられ、小さなお子さまと一緒に生の音楽を楽しめます。出演者のひとり中川賢一さんにお話を訊きました。

大分との関わりが深そうですが、大分に対する印象は?

中川 「豊後大野市エイトピアおおの10周年記念上演された神楽オペラに、今回共演する大森智子さんと関わらせてもらいました。ワークショップも開催され、通算して6週間ほど豊後大野に通い、大分が持つ“豊かさ”を感じました。自然、食事、そして住む人たちの心、すべてが豊かです。生涯通して忘れられない地になり、今回もホームグラウンドで演奏する気分です」

子ども向けプロジェクトにも積極的に参画されていますよね

中川 「子どもたちとふれあう度に思うのは、音楽は理解するものではなく。“感じるもの”だということ。我々が奏でる楽曲は、結局のところ規則性のある音波から生まれる空気の振動に過ぎません。でも、この振動が人の心を動かすのです。楽しい気分にさせたり、涙をあふれさせたり。この体験は子どもにとってすごいこと。何も色がついていない無垢な状態から、音楽を通じて対話できるようになるのですから。ましてや我々が奏でるのは数百年前のクラシック音楽。時空を越え、国も越えて共感できるなんて、原始的なすごさがあると思うのです」

子ども向けに意識していることはありますか。

中川 「まずは最高の演奏をすること。子どもだからと甘く見てはいけません。退屈になれば泣いたり席を立ったり、正直に反応しますから」

泣きだすことも?

中川 「泣かないコンサートはないくらいです(笑)。もし泣いてしまったら、演奏中でも一旦気分転換にロビーに出られます。それが許されるのが、この企画の素晴らしいところ。子どもが泣くのでコンサートに来られない親御さんも、気兼ねなく足を運んでください」

親子で楽しめるよう心づかいが随所にされていますね。

中川 「楽しいお話やリズム遊びを交え、短めの曲をできる限り詰め込んだ1時間。楽器によっては客席での演奏もありますよ。私たちも子どもたちの笑顔を見ると楽しくなります。いい演奏をしなきゃという気持ちが高まるので、演奏家も鍛えられます(笑)」

ところで、ご自身の音楽における原体験は?

中川 「僕は両親が音楽家だったわけでもなく、必ずしも音楽に固まれた環境とはいえませんでした。でも母親が買ってくれたクラシック小品集のレコードを、何度も何度も聴いていた記憶があります。短くて親しみやすい曲ばかりだったから、自然と音楽の世界に入っていったのでしょう。子どもは物事に集中できる時間は短いけれど、集中力そのものは高い。私たちも短い時間でクラシック音楽の素晴らしきを伝えられるよう楽しみにしています」

Profile

 桐朋学園大学音楽学部でピアノと指揮を学ぴ、ベルギーのアントワープ音楽院ピアノ科首席修了。97年ガウデアムス国際現代音楽コンクール第3位。ダンスや朗読など他分野とのコラボレーションも活発。ピアノ演奏とトークのアナリーゼを展開し好評を博す。指揮者として、東京室内歌劇場、東京フィル、広響他と共演。現代音楽アンサンブル「アンサンブル・ノマド」のピアニスト、指揮者。01年度宮城県芸術選奨新人賞受賞。http://www.nakagawakenichi.jp

公演名Concert for KIDS 〜0才からのクラシック®銕〜鹿td>
日時8月27日(水) 開場10:30 開演11:00
会場iichiko 音の泉ホール
出演大森智子(ソプラノ)
礒絵里子(ヴァイオリン)
加藤直明(トロンボーン)
中川賢一(ピアノ)
曲目トルコ行進曲(モーツァルト)
チャールダーシュ(モンティ)
オペラ「椿姫」より『乾杯の歌』(ヴェルディ)
チケット取扱
iichiko総合文化センター 1階 インフォメーション 
トキハ会館 3階 プレイガイド 
別府ヱトウ南海堂 
チケットぴあ(Pコード:231-017)
ローソンチケット(Lコード:86025)
主催・お問合せ(公財)大分県芸術文化スポーツ振興財団 TEL 097-533-4004
企画制作Sony Music Foundation 30周年企画対象公演
協賛ソニー株式会社・ソニー生命保険株式会社

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