Vol.63 2014 WINTER

iichiko グランシアタ ジュニアオーケストラ
iichiko グランシアタ ジュニアオーケストラ

 過去数々の楽曲に挑戦してきた「iichikoグランシアタ・ジュニアオーケストラ」の面々。5回目となる今回も、ベルリオーズの「幻想交響曲」などまたまた新しい大曲に挑戦をしてくれます。さらに今年は恒例の「定期演奏会」に加え、NHK交響楽団メンバーとコラボした「特別演奏会」も開催されます! さぁ、今年のジュニアオーケストラはどんな演奏を届けてくれるのでしょうか。成長の記録をあなたもぜひ見届けに来てください。

INTERVIEW 小野富士 篠崎史紀

 2009年に結成された「iichikoグランシアタ・ジュニアオーケストラ」もいよいよ今回5回目の定期演奏会を迎えます。立ち上げの頃から講師の一員として指導にあたってきた篠崎史紀さんと小野富士さんにジュニアオーケストラへの想いや今回の公演についてお話を伺いました。

―今回で5回目を迎える「iichikoグランシアタ・ジュニアオーケストラ」ですが、今までを振り返ってみてどうですか?

篠崎 5回目とはいえ、メンバーも一回一回入れ替わりながらやっているので、子どもたちのために今年も一生懸命やりたい。今回の「第5回定期演奏会」では、いろんな楽器が入ってくる大掛かりな曲目を持ってきているので、子どもたちに新しい刺激を与えられるのではないかな?と思います。指揮者は第一回目に出演してもらった下野竜也先生がリターンしてきます。彼自身とてもエネルギーの強い指揮者なので、そこで子どもたちとどんなビッグバンが起こるのかという強い期待感もありますね。

小野 大事なのは子どもたちにいい思い出が残るということです。上の学年の子は下の子の面倒をみる、下の子も上の人と付き合うという部分においてもジュニアオーケス トラは今後いい経験となります。また、絵や文章などの芸術とは違い、音楽は消えてしまう芸術です。このジュニアオーケストラも形として残るものではありませんが、とても恵まれたいい団体だと思いますので、ぜひこの環境を続けていってほしいですね。オーケストラを支えている人たちもこのオーケストラを維持すること、継続することについて再認識する機会にしてほしいですね。

―若い演奏家たちに期待することはありますか?

小野 まず音楽を楽しむこと、味わうことが必要ですね。普段音楽は聴いて楽しむものだけれど、ジュニアオーケストラに参加すると演奏する側も経験できます。プロの演奏家を目指す人にとっては間違いなくいい経験となるでしょうし、将来音楽に携わらない人にとっても、音楽を内側から作っていくこと、自分で演奏する楽しみを知ると、いろんなものに繋がっていくと思います。

篠崎 プロになりたい子は、決して嘘つきの演奏家にならないでほしいと思います。完成品を聴いてそれから真似る演奏家、自分で考えて何かを作り上げるということをやめてしまった演奏家が最近増えてきたように思います。CDやネットなどの録音文化が増えてそれが標準となり、それからはみ出ると“変わりもん”となってしまう…。昔は録音がないからその曲がどんな曲か知らない訳で、演奏会で聴くか楽譜と対話するしかなかったものです。だけど今は簡単に音楽が手に入れられるんですよね。擬似体験として一瞬で手に入ったものはあっという間に抜けていく、自分がその情報を欲しくて欲しくて調べて掴んだ時は忘れない。CDなどを参考にしてはいけない訳ではないけれど、個々の特徴を育てるような大人たちでなければいけないし、子どもたちは自分の感情と正直に対面できないような演奏家には決してならないでほしいですね。

―今回はジュニアオーケストラとN響の特別演奏会も開かれますね。

篠崎 N響は子どもたちと演奏することを楽しんでくれそうなメンバーが出演しますので、1日だけですが一緒に楽しみながら遊んでくれるかなと思っています。将来、「こんなことをやったんだ」という思い出が残ってほしいですね。また小野先生の指揮も楽しみですね(笑)。小野先生は演奏家でもあるし、子どもたちの心をしっかり掴んでいるし、いい演奏が期待できると思います。

小野 昔の指揮者は演奏家出身の人が多いんですよね。小澤征爾氏の先生だったシャルル・ミュンシュはライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターだったし、サヴァリッシュやジョージ・セルやゲオルク・ショルティなども名ピアニストだったし、ヴァイオリンだったらユージン・オーマンディとか…。ヴィオラやチェロにも名指揮者がいる。演奏しているということが基本にある人が指揮者であれば、いい演奏につながると言われています。

篠崎 指揮者も共演者として感じて演奏しているので、そのような(共演者として感じてくれる)指揮者が増えることはうれしいですね。

小野 演奏の経験があれば一緒に楽器を弾いて共演している感覚で指揮ができます。また、オーケストラで弾いていると、この場面では指揮者に何をして欲しいかも、経験として知っています。その辺で子供達とN響メンバーと何とか対話できると思いますよ(笑)。

―「特別演奏会」の次の日にはお二人が出演する「N響大分公演」も開かれますね。

篠崎 N響大分公演はヴァイオリニスト・諏訪内晶子さんのサン=サーンスが聴きどころですね。ぜひ、楽しみにしておいてください。

PROFILE
篠崎 史紀 Fuminori Shinozaki

“まろ”の愛称で親しまれるヴァイオリニスト。3歳の時から父親にヴァイオリンの手ほどきを受け、江藤俊哉、トーマス・クリスティアンらに師事、1981年からウィーン市立音楽院に留学する。翌82年、同音楽院のオーケストラとの共演によりデビュー。オーストリアを中心に欧米で活躍を続けており、91年に読売日本交響楽団コンサートマスターの座に就いた。確かなテクニックと美しい音色によって、多くのファンを得ている。97年よりNHK交響楽団第1コンサートマスター。ジュニアオーケストラの芸術監督でもある。

小野 富士 Hisashi ono

福島市出身のヴィオラ奏者。1981年東京芸術大学器楽科ヴィオラ専攻卒業。東京フィルハーモニー交響楽団副首席奏者を経て1987年からNHK交響楽団次席奏者。1992年モルゴーア・クァルテット結成に参画。


公演名iichiko グランシアタ・ジュニアオーケストラ N響メンバーとの特別演奏会
日時2014年3月1日(土)
公演名iichiko グランシアタ・ジュニアオーケストラ 第5回定期演奏会
日時2014年3月30日(日)

≪目次へもどる