Vol.62 2013 AUTUMN

中村恩恵×首藤康之 Shakespeare THE SONNETS

 シェイクスピアのソネットは愛の詩です。喜びや優しさ、そして失うことの恐れや嫉妬、苦悩…など、多くの感情が表現されて読む者を引き込む名作です。この謎めいた詩をめぐっては、さまざまな解釈がなされていますが、今回は中村恩恵と首藤康之が現代の視点で読みなおしたデュオ作品に仕上げています。2011年に新国立劇場で上演し絶賛を浴びたデュオ作品が待望の再演! 豊かな芸術性を持つ2人のアーティストが作り出す豊かな空間は、幅広いお客様にダンスをお楽しみいただける機会となるでしょう。

中村恩恵×首藤康之の代表作!
光と闇に描くシェイクスピアの愛の詩

 大分市出身の世界的ダンサー首藤康之さん。首藤さんにとっては凱旋公演となる今回、同じくダンサー、振付家として世界で活躍する中村恩恵さんとの共演で、2011年の初演の際に高い評価を受けたデュエット作品『Shakespeare THE SONNETS』を上演します。2人の舞踊が奏でる身体表現のハーモニーをぜひご堪能ください!

─ 数あるシェイクスピア作品の中で、なぜ『ソネット』を題材に選ばれたのでしょうか?

中村 『ソネット』はシェイクスピア本人ともいわれる詩人が、愛する人に向けて綴った詩をまとめた作品。美貌の青年貴族、ダーク・レディ、詩人という3人の登場人物を2人で演じます。

首藤 「3」というのはとても神秘的な数字。2人だけの舞台に、「3人目」という要素が加わることで、いい意味でバランスが崩れたり、よりバランスがとれたりする。2人だからこそ起こりうるそうした現象が、作品のテーマのひとつなんです。

─ 2011年に新国立劇場で上演された作品の再演となりますが、前回との違いはありますか?

中村 再演にあたって、ダンサーとして前回の時間を“生き直す”ことを大切にしています。それは、毎回、その場限りと意識して踊ること。振り付けはあっても、その瞬間瞬間で自らの意志で決めた表現であるように動きをつける。そのように、決まり事から自らを解き放つような踊りは、同じ動きを繰り返し、さまざまなアプローチを試みる中から生まれるもの。200個のパターンを繰り返してこそ、本番で201個目のパターンをお見せできると思っています。

首藤 こちらが意識的に変えようとしなくても、お客様や舞台が変わるだけで自然と作品は違ったものになりますね。

中村 一方で、シェイクスピアの作品には、国や時代を越えて共有できる要素があると思います。『ソネット』には人を愛する心や嫉妬、失うことへの恐怖など、人間の生々しい感情が表現されています。

首藤 人間の持つ根本的な感情は人類の共通分母ともいえるものだと思います。それを舞踊の中でどう表現するかが大切。お客様が変わっても、変わらずに心と心で通じ合う部分はどこか。回数を重ねるごとに大事な課題になっていますね。

─ 観客と演者が共有できる部分が見所というわけですね。

首藤 それに、皆さんご存知の『ロミオとジュリエット』『真夏の夜の夢』といったシェイクスピアの戯曲の要素も入りますので、「戯曲の旅」も楽しんでいただけたらと思います。あまり身構えずに、リラックスして楽しんでいただきたいですね。

中村 真の暗闇や静寂、そういった日常生活ではありえないような体験は、劇場でしか味わえないものです。それを体感していただくだけでも、価値があると思います。

─ 大分での「凱旋公演」に向けて意気込みをお聞かせください。

首藤 生まれ育った土地で自分の舞踊を踊れることは、なんて幸せなことだろうと素直に思います。『ソネット』のような大きな作品に中村さんと取り組んだのは初めてで、非常に思い入れがある作品です。それを大分の皆さんの前で演じられることを楽しみにしています。

PROFILE
中村 恩恵 Megumi Nakamura

神奈川県横浜市生まれ。18歳のときにローザンヌ国際バレエコンクールに入賞。モンテカルロバレエ団などを経て、イリ・キリアンが芸術監督を務めるネザーランドダンスシアターに所属。2007年からは拠点を日本に移してダンサー、振付師として活躍中。首藤康之さんとの共作である『The Well-Tempered』や『時の庭』が世界的に注目を集める。2011年、第61回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した。

首藤 康之 Yasuyuki Shuto

大分県大分市生まれ。9歳でバレエを始め、15歳で東京バレエ団に入団。19歳で「眠れる森の美女」の王子役で主役デビューを果たす。「白鳥の湖」「ジゼル」などの古典作品の他、モールス・ベジャール、イリ・キリアンなど世界的現代振付家の作品に多数主演。2011年の「Shakespeare THE SONNETS」は高い評価を受け、第62回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。また、2012年には大分合同新聞 文化賞を受賞。


公演名中村恩恵×首藤康之 Shakespeare THE SONNETS
日時2013年10月23日(水)
時間開演 19:00 終演 20:10(予定)
終演後、ステージ上にて出演者によるアフタートーク開催!
会場iichiko音の泉ホール
出演中村恩恵、首藤康之
料金【S席】5,000円 【A席】3,000円
お問合わせ(公財)大分県芸術文化スポーツ振興財団 TEL:097-533-4004

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