Vol.61 2013 SUMMER

伝統芸能いろはガルタ もう食わず嫌いとは言わせない!

第5回 大分と歌舞伎
― OITA & KABUKI ―

「松竹大歌舞伎」の公演がいよいよ近づいてまいりました。今回のテーマは“大分と歌舞伎”です。江戸時代初期に娯楽として大きく花開いた歌舞伎文化。杵築歌舞伎も江戸時代に人気を博し、次第に他国へ巡業するようになったという記録があり、杵築以外の地でもさまざまな地歌舞伎(地芝居)が生まれたようです。そんな歴史を紐解いていけば、もっと身近に歌舞伎を感じることができそうです。

大分と歌舞伎

 大分県杵築出身の歌舞伎人と言えば、五代目・上村吉彌(かみむらきちや)の名が挙がる。杵築は江戸時代以来、地芝居の栄えた土地で、芝居好きの父親に子役で出されたのが役者としての出発。9歳の年に初舞台を踏んだ後は、九州一円をはじめとして、関西各地の小芝居で、立女形として活躍。昭和19年以降は松竹専属となり、美貌の女形として瞬く間に人気役者になっていった。昭和22年に大阪歌舞伎座(千日前)で、元禄期の名女形、上村吉彌の名を五代目として襲名。以後関西を中心に活動し、七人の会や仁左衛門歌舞伎では役を固める重要な役割を担ったそうです。プロが演じる歌舞伎を「大歌舞伎」というのに対して、地元の素人役者たちによって演じられる、地方に根付いた歌舞伎が「地歌舞伎」。大分では、江戸時代以降200年の伝統を誇る「国見田舎歌舞伎」などがあります。地歌舞伎は娯楽が少なかった時代の、庶民のハレの日を今に伝える民間芸能だったのです。近年では日田市出身の中村獅二郎が中村獅童一門に在籍。これからの活躍に注目です。

海上貿易で栄えた城下町・杵築で芝居や歌舞伎専用の小屋として誕生していたのが『きつき衆楽観』。昭和28年に閉館されたが大衆演劇が楽しめる芝居小屋として復活を遂げた。

伊賀越道中双六
沼津(ぬまづ)

 沼津に近い街道では、鎌倉の呉服屋十兵衛と、その荷を担ぐ雲助の平作が連れだって歩いています。年老いて足腰の弱い平作が転んで怪我をし、十兵衛が印籠から薬を出して手当をするところ、平作の娘・お米が通りかかります。お米に見惚れた十兵衛は、平作の家に泊まり、お米を女房にしたいと申し出ますが、お米は夫のある身でした。夜中、お米は十兵衛の枕元から印籠を盗もうとします。これには事情があるはずと、お米から訳を聞いた十兵衛は、平作が実の父で、お米が妹だと知りますが…。

生き別れた親子の悲しい対面が胸を打つ
義太夫狂言の名作!

襲名披露
口上(こうじょう)

 平成23年に三代目中村歌昇が三代目中村又五郎の名を、四代目中村種太郎が四代目中村歌昇の名を襲名いたしました。播磨屋一門にとって大切な名跡を継承することになった又五郎と歌昇親子が、襲名披露の御挨拶をいたします。

又五郎・歌昇親子が襲名披露の御挨拶

連獅子(れんじし)

 文殊菩薩の浄土と言われる唐の清涼山に架かる石橋にやって来たのは、狂言師の右近と左近の親子。手獅子を携えたふたりは、親獅子が仔獅子を千尋の谷に突き落とし、這い上がってきた子だけを育てるという故事を踊ります。その後、ふたりの旅僧が現れますが、互いの宗派が違うことがわかると宗論を始めます。やがて、親子の獅子の精が現れ、獅子の狂いを勇壮に舞い納めます。

獅子の毛振りが見どころ!

公演概要

OBS開局60周年 松竹大歌舞伎
中村歌昇改め三代目 中村又五郎襲名披露 中村種太郎改め四代目 中村歌昇襲名披露
iichiko presents 大分公演

[日 時] 2013年9月21日(土)
昼の部12:00、夜の部17:00(同演目)
[会 場] iichiko グランシアタ
[出演] 中村吉右衛門、中村又五郎、中村歌昇ほか
[演目] 一.沼津、二.口上、三.連獅子

もっと楽しむための歌舞伎レクチャー

まずは歌舞伎をよく知ること!

「難しい」「敷居が高い」と思われがちな歌舞伎。でももともとは庶民の娯楽。決して難しいものではありません。しかもちょっとしたことを知ると何倍も楽しくなるんです。葛西聖司さんの軽妙に分かりやすいレクチャーを聞いて、歌舞伎の醍醐味を味わいましょう。

[日 時] 2013年8月4日(日)
11:00開演/12:30終演予定
[会 場] iichiko 総合文化センター 地下1階 映像小ホール
[講師] 葛西聖司(アナウンサー・古典芸能解説者)
[参加料] 一般500円 ※学生無料

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