Vol.60 2013 SPRING

伝統芸能いろはガルタ もう食わず嫌いとは言わせない!

第4回 神仏習合と歌舞伎
―Syncretization of Shinto with Buddhism & KABUKI ―

 私たちの大分県にも、古くから根付いた伝統芸能がさまざまな形で残されています。たとえば、国東半島に残る寺社仏閣・祭などの文化財や民俗芸能、生活芸術など。それらを新しい芸術と結びつけたらなにか、面白い化学反応が起こるかもしれません。そんな期待を込めて、大分に残る伝統芸能のルーツを探っていきます。

「神仏習合」発祥の地

 国東半島にある、国東市・豊後高田市・宇佐市に、重要文化財級の寺社仏閣が点在しているのは有名なこと。では、こんな体験をしたことはないでしょうか? 「お寺にお参りにきたのに、神様が祀られている」「神社に来たのに、仏像がある」…など。この不思議な現象は、神様と仏様を共存させた、「神仏習合」という文化が普及した名残なのです。これは、世界にも稀に見る、素晴らしい文化だと言われています。その発祥の地が、何を隠そう、全国にある八幡宮の総本宮である『宇佐神宮』なのです。
 奈良時代のこと、律令国家の建設が進む中、ここに組み込まれることに反対した東北の蝦夷と南九州の隼人が反乱を起こします。それを鎮めるため、宇佐神宮では、仏教に救いを求めたという記録が残っています。また、738年には、神社の境内に「弥勒寺」という寺を建立。現在、神宮庁や参集殿などがある参道の西側に、弥勒寺の跡が保存されており、発掘調査の結果、国の援助(聖武天皇の時代)で造営されたこともわかっています。
 神と仏、どちらも寛容に受け入れる思想は、国東半島一帯に広まり、また、その影響は朝廷にも及んでいたのです。そして、その土地土地で生まれた文化や芸術に、登場していくのでした。

歌舞伎の演目に「神仏習合」がコッソリ…

 何気なく見ていた歌舞伎公演にも、「神仏習合」の文化が見え隠れしていたり。そんなポイントに注目して見ると、ちょっと面白いかもしれませんね。例えば、文楽の演目から歌舞伎にも取り入れられるようになった、あの有名な『曽根崎心中』での一場面。主人公のお初が、神社に観音様参りに訪れるシーンがあります。本来ならお寺にあるはずの観音様。これぞ、まさに大分県発祥の「神仏習合」。そう考えると、歌舞伎を身近に感じませんか!?

本家歌舞伎にひけをとらぬ歴史ある地歌舞伎

 そのむかし、杵築のお殿様を喜ばせる余興として、田舎歌舞伎が盛んでした。その名残が、「国見田舎歌舞伎」として現存しています。その歴史たるや、約200年。かつては全国的にこのような地歌舞伎が流行し、それが次第に姿を消していく中で生き残った、貴重な伝統芸能なのです。国見田舎歌舞伎の役者には、本家歌舞伎の中村一門の中村歌六に弟子入りしていた人がいる縁で、立派な衣装なども伝えられています。

歌舞伎にまつわる大分の人々

 歌舞伎役者は、基本的には世襲制です。しかし、一般の人が歌舞伎役者になれないわけではなく、一門に弟子入りしたり、養子になったりして名跡を継ぐことができます。大分からも、歌舞伎俳優が誕生しています。大分県杵築市出身の、五代目上村吉彌(1909〜1992)は、地芝居育ち。九州から関西各地の小芝居で立女形として活躍し、関西歌舞伎の大立者、二代目市川右團治に認められて、市川右升の名をもらいました。終戦後、松竹の舞台を踏むと、東京の市川寿海の一門に入り、少ない出番の中でしたたかに生き、最後は順風満帆の役者人生だったと言われています。また近年は、日田市出身の中村獅二郎が中村獅童一門に在籍しています。

WORKSHOP REPORT

Touch The Haoanese Culture 邦楽ワークショップ

第3回 文楽・素浄瑠璃

2013年3月6日(水)/iichikoグランシアタ舞台上

素浄瑠璃とは、人形や俳優を伴わずに語りと三味線だけで聴かせること。そんな世界を紹介してくださった、太夫の豊竹咲甫大夫さんと三味線の鶴澤清志郎さん。声と音楽だけで主人公の喜怒哀楽が伝わってくることに、参加者からは感嘆のため息が。会場がiichikoグランシアタのステージ上だったため、本番さながらの臨場感も体験していただけたようです。

最年少の参加者は、伝統芸能を紹介する子ども向け番組を見て興味を持ったという千尋ちゃん。この日は、お父さんにだっこをされながらの参加。三味線や、文楽で使用する道具に初めて触れてとてもご機嫌。「楽しかった。また来たい」と、かわいらしいポーズを決めてくれました。

公演概要

OBS開局60周年
松竹大歌舞伎
中村歌昇改め三代目 中村又五郎襲名披露
中村種太郎改め四代目 中村歌昇襲名披露
iichiko presents 大分公演

[日 時] 2013年9月21日(土)
[会 場] iichiko グランシアタ
[出演] 中村吉右衛門、中村又五郎、中村歌昇ほか
[演目] 沼津、襲名披露口上、連獅子

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