Vol.58 2012 AUTUMN

私たちの音楽は芸術上の新たな高みへ

COMMENT 
マリインスキー劇場芸術総監督・首席指揮者
ワレリー・ゲルギエフ
Valery Gergiev

ー 今回は2004年以来、8年ぶりの公演となりますが、演奏会への意気込みを聞かせてください。

 私たち楽団の能力は、ショスタコーヴィチの交響曲をお聞きになれば納得していただけるでしょう。
私たちは「チクルス」をニューヨークやウィーンなど世界各国のコンサートで演奏しています。また、交響曲全15曲を録音し、CDのリリースも行っています。これらの取り組みによって私たちの芸術性はさらに向上しました。今回の演奏会には、ぜひご期待ください。
※特定の作曲家の作品を連続して演奏する音楽会のこと

ー ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」の聴きどころを教えてください。

 この作品は、マツーエフの本領が遺憾なく発揮される曲と言えます。その演奏は実に伸びやかで、自信に満ち溢れ、そこにいかなる虚飾もありません。そして、難しいソロを弾きこなす円熟した技法は聴く者を圧倒することでしょう。マツーエフの独奏による協奏曲は、演奏するミュージシャンや、コンサートホールで演奏を聴く皆さん一人ひとりの人生においても最も輝かしい出来事になるはずです。

ー マツーエフ氏とたびたび共演されていますが、彼の魅力は何だと思いますか。

 マツーエフは、同世代にはもはや並ぶ者がいないほど希有な存在です。その演奏と解釈によって、よく知られた名曲も新たな視点で見直すことを迫られ、皆さまも新たな深みとニュアンスを発見できるでしょう。今回は8年ぶりの大分での演奏会となります。皆さまとの再会を楽しみにしています。

ワレリー・ゲルギエフ PROFILE
ワレリー・ゲルギエフ Valery Gergiev

1988年、マリインスキー歌劇場の芸術監督に選出され、同歌劇場を世界が注目する一流歌劇場へ発展させた、カリスマ性を備えた現代屈指の指揮者。ロッテルダム・フィルやロンドン交響楽団など世界に名立たるオーケストラの主席指揮者を歴任した。また、サンクトペテルブルクの「白夜の星」音楽祭、コーカサス平和音楽祭など数々の音楽祭を創設し、芸術監督および音楽監督を務める。

20年後もゲルギエフと
ラフマニノフの3番を弾いていたい 

COMMENT ピアニスト デニス・マツーエフ Denis Matsuev

 ゲルギエフと私のコンビによるラフマニノフのピアノ協奏曲第3番は、多くの人から"これぞラフマニノフ3番"と言われます。ピアニストの心理、技術、肉体的な状況があらわになる、とても大きな爆発力を秘めた作品で、私自身にとっても、名刺代わりの曲です。日本でこの曲をゲルギエフと演奏するのは、今回が初めてとなります。彼らの演奏は決して"伴奏"にまわることのない、自分たちでシンフォニーを奏でているかのような、すばらしいオーケストラです。このメンバーで大分公演ができることを楽しみにしてます。

デニス・マツーエフ PROFILE
デニス・マツーエフ Denis Matsuev

1998年にモスクワで開催された第11回チャイコフスキー国際コンクールで優勝。以来、世界の檜舞台に突如現れた新星として、瞬く間に人気ピアニストの1人となり、確固たる地位を築いている。ニューヨーク・フィルハーモニックやフランス国立管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団など世界の有名オーケストラと共演し、マリインスキー歌劇場管弦楽団とも継続的に共演を重ねている。

≪目次へもどる