Vol.57 2012 SUMMER

[日本伝統音楽]"変幻自在"に奏でる箏

iichiko presents
野坂操壽×沢井一恵[箏]
ふたりのマエストロ全国ツアー「変絃自在」

INTERVIEW 赤い糸で結ばれた!? ふたりの演奏家

 奈良時代に唐から伝来した「箏(きん)」。13本の絃が桐の木に張られた楽器です。私たちがよく使っている漢字の「琴(こと)」は7絃で、「箏」とは違う楽器です。箏奏者の第一人者として世界でご活躍の野坂操壽さんと沢井一恵さんのおふたりに、箏の世界と大分でのコンサートへの意気込みについて伺いました。

野坂操壽×沢井一恵[箏]

―おふたりの出会いと今回のご共演のきっかけは?

沢井(写真:右) 出会いは強烈でした。東京藝術大学の2年先輩で、当時から大ファンだったんです。野坂先輩の大学院の卒業演奏会に在校生としてご一緒して、ソリストの先輩の背中を見つめながら、不思議と「この方とは赤い糸でつながってる!」と感じて。それからもう50年くらい経ちますね。
野坂(写真:左) 学生の時からのお付き合いですが、一緒に演奏する機会はあっても、ふたりだけでというのはなかったんです。3年前、私たちの箏爪を開発してくださっている中嶋和楽器さんの還暦のお祝いに呼ばれて、初めてふたりで演奏して意気投合したんですよね。
沢井 もうリハーサルから本当に楽しくて。終わってから野坂先輩が「ふたりで何かやりましょう!」とおっしゃってくださった。50年前に私ひとりで感じていた赤い糸が今ここでつながったー!」と思ってうれしかったですね。
野坂 それで『邦楽ジャーナル』さんに相談して、昨年の7月から全国ツアーがスタートしたんです。

―日本の伝統楽器である、箏の魅力とはどんなところにあるのでしょうか?

沢井 日本の楽器はとっても不便。箏も転調がききません。でも1つ音を出すと、音が空間を埋めていくような、西洋楽器とは異なる新鮮な表現ができる。しかも一音が強い。シンプルな楽器だけに演奏者の思いやキャラクターを反映するんですね。そこが日本の伝統楽器の特徴だと思います。
野坂 「一音成仏」という言葉があります。一音が仏になる。箏は単音でも成立しますが、ピアノやバイオリンのような西洋楽器ではなかなかそうはいきません。

―どのように箏を聴いてもらいたいですか?

野坂 まずは一音に耳をすませていただきたい。加えて大分では、鬼太鼓座の代表で尺八の演奏家の松田惺山さんと共演します。
沢井 私たちと一緒に楽しんでほしい。箏は集中して聞いて疲れちゃったーなんて、よくなりがちなので。そのためにふたりでいい一音を出しましょう。それに何より私たちが楽しまなくちゃ。
野坂 わくわくした気持ちで楽しく弾かないとね。でもその点、私たちは合格ね(笑)。「琴線に触れる」という言葉がありますが、ぜひ箏の音色や曲の美しさを感じにいらしてください。


公演名iichiko presents 野坂操壽×沢井一恵[箏]
ふたりのマエストロ全国ツアー「変絃自在」
日時2012年10月6日(土)
時間13:30開場 14:00開演 16:30終演
会場iichiko総合文化センター iichiko音の泉ホール
出演野坂操壽、沢井一恵
ゲスト松田惺山(尺八)
料金全席指定2,500円、U25チケット1,000円
お問合わせ(財)大分県文化スポーツ振興財団 TEL:097-533-4004

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