Vol.56 2012 SPRING

iichiko グランシアタ ジュニアオーケストラ第3回定期演奏会

 3月31日(土)、iichikoグランシアタ・ジュニアオーケストラの第3回定期演奏会が行われ、大成功に終わりました。さっそく、当日のレポートをお届けします。

 開演のベルを待つ、iichikoグランシアタのロビーで聞こえてきたある会話。
 「去年もその前も聞きましたが、恐れ入りますよ。『これが子ども!?』という演奏ですから」
 耳の肥えた人をも唸らす、そして期待してわざわざ足を運ぶ"ファン"を獲得している。それが今年、108人の団員で3回目の定期演奏会を迎えたジュニアオーケストラの実力だ。
 実際、期待を裏切らないのが子どもたちのすごいところで、1曲目のシベリウス「フィンランディア」から、迫力の演奏で聴衆を釘付けに。かと思うと、2曲目のモーツアルト「交響曲第39番」では、心地よいハーモニーを響かせリラックスムードを演出した。
 メインは、3曲目の「白鳥の湖」。団員全員にアシスタントらが加わり、100人を超える大合奏で、全10曲を約1時間にわたって演奏した。パートごとに聴かせどころがあり、テンポの速い軽快なもの、叙情的なものなど、七変化する音楽に、会場全体がかつてないほどに心を奪われていた。どんな曲も弾きこなせる、幅の広さを感じさせた定期演奏会となった。
 実は今回の演奏会をもって、受験や進学を機に休団・卒団するメンバーが多い。音楽を通じて彼らが得たものは、きっと将来の糧になるはず。芸術監督・篠崎先生の言葉を借りれば、こうだ。
 「音楽は、すべてを超えられるパーツ。世界中、人種を超え、宗教を超え、時空をも超える。そういう素敵なものをあなたたちは持っています。ずっと心の中に入れて、自分の生活の役に立てれば、きっと未来は明るくなる」

iichiko グランシアタ ジュニアオーケストラ第3回定期演奏会
  • 当日は10時からリハーサルスタート。
    山下先生から、最後まで細かい注文が続き、完成に近づいていきました
  • 13時15分の開場を前に、長蛇の列!
    アトリウムプラザに公演を知らせる垂れ幕もかかって、ジュニアオケ一色の雰囲気
  • 13時半から、クラリネットのアンサンブルによるロビーコンサートを開催。
    美しい音色に導かれ、会場に入る前の人々が足を止めて聴き入っていました
  • 舞台そでで出番を控える子どもたち
  • いよいよ本番スタート!
  • 「白鳥の湖」を弾き終わって"ブラボー!"の歓声を浴びる
  • 終演後のオフショット。仲間との時間を惜しみながらの交流会。おつかれさまでした!
Conductor's Voice
一生、音楽と付き合ってほしい

指揮者 山下一史

山下一史

― 本番を終えた感想をお聞かせください。

 ゲネプロのときに、「顔をあげて、僕の目を見て」と子どもたちにお願いしたのですが、本番では本当に集中して、じっとこちらを見てくれました。子どもたちと一緒にステージで演奏したわけですが、みんなががんばっている姿は本当に素敵でした。私は、仙台でもジュニアオーケストラの指揮をしていますが、子どものオーケストラはすごいパワーがあって…大人のオーケストラにはないパワーがあります。子どもから教わることもたくさんあります。

― 2月の初対面のときの印象は?
それから本番までに、どんな変化が見られましたか?

 最初は、よくトレーニングされているオーケストラだなと思いました。そして九州だからかな、明るいですね。練習では「こういう風にひきたいから、こういう風に弾けるようになって」という普通のリハーサルをしてきましたが、1カ月でずいぶん良くなっていました。教えたことをすぐに吸収してしまうのは、子どものすごいところですね。可能性がありますよね。

― 共演した子どもたちに、あらためてメッセージをお願いします。

 マロさんの考え方はすばらしいと思うんです。いろんなところにジュニアオーケストラをつくって、団員の子たちが音楽家になる場合もあれば、聴衆になる場合もある。つまり、「オーケストラが好き」という人を増やしたいという。

 子どもたちはこれから大学に進んで、社会人になって、ウンと忙しくなったら楽器をひく時間もなくなるかもしれない。それはそれで仕方がない。だけど、仕事が終わってどこかのホールに行ってオーケストラを聴いたり、家でCDを聴いたりして常に"聴く"ことはできるし、リタイアして時間ができれば楽器を弾くことを再開もできる。焦る必要は全然ありません。一生にわたって音楽と付き合ってほしいと思います。そのための手伝いが僕にできたなら、とても幸せなことだと思います。

Inspector's Voice
iichikoグランシアタジュニアオーケストラ インスペクター 中津留昂大さん(高2)
中津留昂大さん

 1年間練習を積み重ねてきましたが、本番前は緊張もあって、いい演奏ができるか心配でした。でも、弾いてみると、山下先生の指揮がとてもわかりやすくて、僕たちの力を最大限に引き出してくれて、とてもいい演奏ができたと思います。山下先生との練習は、本当に楽しかったです。
 僕はこれで休団するのですが、後輩たちは、今回を超える演奏ができると思うので、さらにがんばってほしいと思います。元気がいっぱいあるので、きっとこれからも大丈夫です!

OUTREACH REPORT アウトリーチレポート

ジュニアオーケストラ 出張コンサート

ホールを飛び出して、
音楽を運びます♪

ジュニアオーケストラ 出張コンサート
●塚川第一病院

2012年1月28日(土) 13:50〜

演奏
曲目
グランドマン作曲:バガテル
パッヘルベル作曲:カノン
L.モーツァルト作曲:おもちゃの交響曲

 ジュニアオーケストラのメンバーは、iichikoグランシアタの外でも大活躍です! この頃、大分県内の施設や団体からの依頼を受けて、出張コンサートに出かけるアウトリーチの機会が増えました。子どもたちには、定期演奏会だけでなく、このようなコンサートに出かけることで、「たくさんの人に音楽を聴いてもらいたい」という気持ちも芽生えています。
 1月28日(土)、iichiko総合文化センターの近くにある『塚川第一病院』の入所者の皆さんを対象に、ミニコンサートへ出かけました。約1時間半にわたって、管楽器のアンサンブルや、竹の楽器を使ったモーツァルトの「おもちゃの交響曲」などを楽しく演奏しました。
 実はここ、1年前にも出張コンサートに訪れた場所。当時小学生だったメンバーは、ずいぶん背も高くなって、入所者のみなさんも感慨深げ。コンサートの後には、「きっとよく練習しているんでしょうね。素晴らしい演奏を聴いて感激しました。病気がよくなっちゃいそうです!」という感想も出てきて、メンバーたちはとても誇らしげな様子でした。

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