Vol.56 2012 SPRING

自分の中から沸き出す思いに素直になって
そして「諦めない」こと!

iichiko presents シエナ・ウインド・オーケストラ
INTERVIEW 指揮者 金 聖響

 6月13日公演の『シエナ・ウインド・オーケストラ』は、近年めずらしい"吹奏楽"のコンサート。
吹奏楽コンクールの課題曲も演奏してくれるうえ、フィナーレでは持参した楽器で共演できるお楽しみも!
ぜひお見逃しなく。

取材協力:尚美ミュージックカレッジ専門学校

金 聖響

 国内外で活躍する指揮者・金聖響さんは、インタビューにおうかがいすると、大きな声で気さくに楽屋に迎え入れてくれました。指揮者を目指したきっかけや、学生時代に師事していた小澤征爾さんのお話などをお聞きしました。

― 幼い頃はバイオリンを弾いていたとうかがっていますが、なぜ指揮者を目指したのですか。

一番大きかったのは小澤征爾先生の存在です。幼いころの記憶ですが、テレビで小澤先生のドキュメンタリー番組を見て衝撃を受けました。

 僕は14歳で渡米しているのですが、渡米先で所属したジュニアオーケストラでの経験も指揮者を目指すことに繋がりました。合奏することは楽しかったですし、舞台の上で演奏することは自分の中でごく自然なことでした。けれど、楽器を弾くことにもどかしさを感じていました。「自分は楽器一つでは表現しきれない」という根拠のない自信です。そんな時、目の前で指揮を振る人を見て「これやってみたい」と思ったんです。

― 指揮者への憧れを抱いて、実際に指揮の勉強をはじめたのはいつからですか。

 学校で本格的に音楽を学んだのは23歳からです。14、15歳の時に指揮者になりたいと両親に話したのですが大反対を受けました。自分の息子が音楽家になるなんて、思ってもなかったのでしょう。大学は哲学科に所属して、ジュニアオケも18歳で辞めていました。けれど、どうしても指揮者になりたくて、卒業間近にもう一度両親に音楽の勉強をさせて欲しいと頼みました。決して裕福な家庭ではなかったし、妹もまだ学生で家計は厳しかったと思いますが、学費を払ってもらえることになりました。そして大学院に入学して、音楽を学べる環境が整いました。

― 指揮者を目指して、やがて小澤征爾さんに師事されるようになりますが、小澤さんから学んだことや印象に残っていることはありますか。

 真似したこと、参考にしたことはたくさんあります。例えば指揮台での立ち回り、楽隊の人々やファンの方との接し方、人を惹き付けたら絶対に離さない方法などです。ここでは言えない企業秘密もありますが、「これは先生にしかできない」というものもたくさんありました。

 しかし先生は天才肌の人なので、教え下手で、講義になかなか顔を出してくれないこともありました。そんな先生を公演後に待ち構えて、楽譜片手に物欲しそうな目で何日も見続けました。そうしたら、突然部屋に呼ばれて指揮振りの稽古がはじまりました。

 指揮者として仕事を頂くようになってから、ご挨拶をする機会があって「頑張っているね」と言われた時は、嬉しかったですね。

― 実際に指揮者になられてから、意識していることはありますか。

 「諦めない」ということです。自分がどんな音楽を望んでいるのか楽団の人々に伝える時、めげてしまいそうになることもあります。そういう時に諦めてしまうと、楽団の人にもそれは伝わってしまうし、お客さんに届けられるような音楽になりません。

 「諦めない」というのは小澤先生から学んだことでもあります。小澤先生は自分が望んでいる音が出なかったら絶対に諦めないですから。

― 今回、金さんが指揮をなさるシエナ・ウインド・オーケストラとはどんな楽団ですか。また、公演の最後に「星条旗よ永遠なれ」を観客も含めて合奏するそうですが、参加方法などはありますか。

 シエナとは十数年一緒に演奏をしていますが、音楽的にも、パフォーマーとしても優秀な楽団です。お客さんに向き合って演奏しようという気持ちが強い。CDのような完璧で鮮麗な演奏をすることは非常に難しいですが、シエナでは常に高いレベルの演奏を目指しています。

 また「星条旗よ永遠なれ」の合奏についてですが、今回も公演の最後に行います。事前の申請などは必要ありませんし、どなたでも参加して頂けます。ホールに入る大きさの楽器であれば打楽器でも問題ありません。

― 会場となるiichiko総合文化センターにはジュニアオーケストラがありますが、子どもたちに伝えたいことはありますか。

 僕たちの演奏を聴いて「自分もやってみたい」と思って欲しいです。そして、「これやってみたい」と思えるものに出会ったら、自分の中から沸き出す思いに早く素直になって欲しい。また、子どもが必死に夢を訴えて来たら、両親は全力でバックアップしてあげてください。

― 最後に、大分でのコンサートで楽しみなことや、大分の印象をお聞かせください。

 地方公演の楽しみは、その土地の空気に触れることです。以前大分を訪れた時は夏でした。蒸し暑くて南の方ってこうなんだと思いました。人も穏やかでいいですね。フグが名物とのことなので、フグのてっさが食べたいです(笑)。

 幼いころに憧れた夢を形にして、指揮者を目指すきっかけとなった小澤征爾さんにも師事した金聖響さん。シエナ・ウインド・オーケストラの演奏と金さんの指揮のもと、みなさんも今回の公演で、一緒に演奏しましょう!

金 聖響 PROFILE
指揮者
金 聖響

きむ・せいきょう/1970年大阪府生まれ。14歳で渡米した後、タングルウッド音楽祭に奨学聴講生として参加し小澤征爾氏に師事した。1998年「ニコライ・マルコ国際指揮者コンクール」で優勝し、「パシフィック・ミュージック・フェスティヴァル(PMF)」等の音楽祭で実績を重ね、国内外のオーケストラへ客演。2009年4月から神奈川フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者に就任、2010/11年シーズンからベルギー・フランダース交響楽団の首席指揮者に就任した。

一緒に演奏しましょう!

『シエナ・ウインド・オーケストラ』の公演の最後に、「星条旗よ永遠なれ」を大合奏します。会場に持ち込める楽器で、音が出るものならどんなものでも大丈夫。調は「変ホ長調→(転調)→変イ長調」です。当日はぜひ、楽器持参でご来場ください!

公演名iichiko presents シエナ・ウインド・オーケストラ
日時2012年6月13日(水)
時間18:15開場 19:00開演
会場iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ
指揮金 聖響
曲目・「キャンディード」序曲/バーンスタイン
・2012年度全日本吹奏楽コンクール課題曲より
 さくらのうた/福田洋介
 吹奏楽のための綺想曲「じゅげむ」/足立正
・アルメニアン・ダンス パートI/リード
料金S席6,000円、 A席5,000円、B席4,000円、高校生以下半額(A・B席のみ)
お問合わせ(財)大分県文化スポーツ振興財団 TEL:097-533-4004
リード! リード!! リード!!!
Before&After 公演の前でも、後でも、お勧めの1枚、1冊

CD『リード! リード!! リード!!!』
販売元:エイベックス・クラシックス

 来県する金聖響指揮による、"吹奏楽の神様"「リード」の名曲ばかりをつめこんだ一枚。吹奏楽経験者なら誰でも「演奏したことある!」という作品の数々に、ワクワクすること間違いなし。

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