Vol.54 2011 AUTUMN

ジャパネスク 〜知りたい→観たい。日本の伝統芸能〜

伝統芸能を継承する親子に聞きました。
「お囃子の魅力」って!?

お囃子:堅田新十郎(かただ しんじゅうろう)[父]・
安倍弘朗(あべ こうき)[息子]・安倍帆香(あべ ほのか)[娘]


 8月19日(金)、夏休み中の子どもを対象にしたワークショップ「長唄にチャレンジ!」が開催されました。その講師として来県したお囃子方の堅田新十郎さんと、息子の弘朗さん、娘の帆香さん3人に、伝統芸能の素晴らしさをおうかがいしました。

―まず教えてください! 長唄とは、どんな音楽のことを言うのですか?
新:ひな祭りに飾るひな段に「五人囃子」がいますよね。5人とはそれぞれ太鼓、小鼓、大鼓、笛、唄のパートを持っている人たちですが、この中の「唄」が三味線音楽に吸収されてできたジャンルを、もともとは長唄といいます。そして長唄は、17世紀の江戸時代に歌舞伎が誕生すると、その伴奏として発展したと言われています。その過程で、やがて賑やかなシーンにお囃子が登場するようになったのでしょう。
―「お囃子」の芸を継承するお家に生まれた新十郎さんですが、実はサラリーマンだった時代もあったとか!?
新:お囃子は「やらなきゃなぁ」とは思っていたのですが、気が付くと大学まで卒業してしまって。時代はバブルの真っただ中でしたから、就職もすんなり決まり。でも、いざ就職してみると自分の方向性を考えるようになって、結局サラリーマンは長く続かず、伝統芸能の道に入ったワケです。父の運転手に始まり、稽古といえば、父が教えていたカルチャーセンターで一般の人に交じってやるか、仕事場で先輩から教えてもらったりして芸を盗んでいました。お風呂の壁にツケ(譜面)を貼って丸暗記したりもしました。
―お子さんたちは何歳から?
新:息子は3歳、娘は小学校に入ってから。自分の子どもには、小さい頃から経験させてあげたくて、早くから舞台に出しましたし、教えてあげられることは何でも教えてあげたいと思っています。
―新十郎さんはどんなお父さんですか?
弘:普段はふつうのお父さんです。コンピューターに興味があるので、そのことについて話したりもします。
新:そう言うとかっこいいけど、ゲームのことでしょ(笑)!?
弘:(笑)。だけど稽古となるとすごい。
帆:私も舞台のときは尊敬しています。プライベートでもいろんなことを聞くと答えてくれます。
―アットホームな一面があるんですねぇ。では、新十郎さんにとって、人間国宝でいらっしゃるお父様、堅田喜三久さんはどんな存在なのでしょう?
新:基本的には「ライバル」ですね。負けたくないと思ったり、尊敬していたり。いろんな思いがあります。父がやってこなかったことは自分がやっていきたいとも思っていて、子どもを対象にしたワークショップもその一つ。芸については、直観的なものがとても優れた人ですね。邦楽は洋楽と違い、人の感性によって"テンポ"が異なります。つまり、三味線のテンポに、反射神経で鼓を合わせていかなければならなかったりするんです。その部分で、父はとても才能がある人だと思います。
―伝統芸能を伝えていく立場から、どういうところがお囃子、長唄の魅力だと思っていますか?
弘:お囃子方の人それぞれに演奏方法が違って、十人十色の演奏、音色があるところが面白いです。今、日本の伝統文化に触れる機会が減っているので、とにかく知ってほしいですね。
帆:私は、ずっと昔からの歴史があって、代々今に至るまでこの演奏が続いているというところに魅力を感じます。お客さんには、そのきれいな音を聴いてほしいです。
新:長唄は、指揮者のいない特殊な形態です。人間と人間の「あ・うん」の呼吸で音楽が進んでいくというのも素晴らしい魅力だと思います。邦楽は習い事でも規模が小さいですが、現在は、レントゲンのフィルムを皮にしたプラスチック製のリーズナブルな鼓も出てきています。これは音もいい。多くの人が、もっともっと邦楽の楽器に触れてくれたら、と思います。

 インタビューの翌日、3人が出演したワークショップ参加者は、実際に好きな長唄の楽器を体験し最後に「さくらさくら」を合奏。楽しい時間となりました。
新十郎さんは11月の人間国宝公演にも出演します。乞うご期待!

PROFILE
1967年、人間国宝・堅田喜三久の二男として生まれる。1990年、大学卒業後に演奏活動を始め、1998年に四代目・堅田新十郎を襲名。現在は舞踊公演、歌舞伎公演のほか、TVやラジオの世界でも活躍中。息子の弘朗さんは3歳で、娘の帆香さんは7歳で舞台デビュー。


VOICE
〜過去の人間国宝シリーズをご鑑賞いただいたお客さまの感想〜

馴染みのない分野でも、葛西氏との楽しい対談と実演で、何十年もお稽古されている方の美しい芸と生き方に魅了されました。おかげでなんと、中学時代に封印した歌舞伎、三回も続けて公演を観てしまいました。この秋のシリーズも楽しみ!(別府市・野中千春さん)

この道一筋に何十年にもわたる厳しい修業の末に生み出された至高の芸。その人一代で完結する〈人間国宝〉の心と技。このたぐい稀な〈わざ〉を地元大分で心ゆくまで鑑賞できるしあわせに酔おうではありませんか!(杵築市・衞藤賢史さん)


[第3回 長唄] お囃子図解

 西洋発祥のバレエやオペラには「オーケストラ」の演奏がつきものですが、それは日本の伝統芸能で言えば「長唄」にあたります。長唄にもパートや編成があり、これを知っていれば、本番で注目するところが増えてもっと楽しくなります。図は、三味線4人、唄4人の「四挺四枚(よんちゅうよんまい)」という並び方です。

人間国宝〜その心と技〜 第五回 堅田喜三久
日時 2011年11月27日(日) 14:30開場 15:00開演
会場 iichiko 音の泉ホール
料金 料4,000円、学生1,000円(当日指定)
主催・お問い合わせ/
(財)大分県文化スポーツ振興財団 TEL097-533-4004

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