Vol.52 2011 SPRING

大震災があっても、約束通りに初来日を果たし、大分へ来てくださいました。「日本の皆様に"スラヴ行進曲"を贈ります」と言ってタクトを振り始めた、アルプ先生(子どもたちは親しみを込めてそう呼ぶ)に、演奏会の直後、お話をうかがいました。
 今日の演奏を今までと比べることはできませんが、リハーサルで指導したことを子どもたちは90%は出し切ったと思います。ステージ上で緊張もするでしょうし、怖いと感じることもいっぱいあったでしょうが、思い切った演奏が出来ていました。もちろん、私たち大人だって、子どもたちと同じように緊張もします。だからこそ、彼らにとって必要なことは、こういう機会がたくさんあることです。こういう風に発表できる場所がいっぱいあるといいなと思います。
 私は、ヨーロッパで何度か、音楽学校に入っていたり、専門的に音楽の道に進むと決めた子どもたちを指揮した経験はあります。しかし、大分のようにいろいろな子どもたちが集まって来ているオーケストラを指揮するのは初めてです。基本的には、子どもたちに携わるのは簡単だと思いますが、難しい面もあります。簡単だというのは、こちらが言ったことを大人より早くこなすことができるからです。難しいのは、私が来る前に各パートの先生方がいろいろと教えてくださっていて、一つの形が出来上がっていることです。私のようによそから来た者が短時間で、決まっている形を違う形に創り上げるのは難しいことです。でも、すごくラッキーだったのは、このジュニアオーケストラには本当にいい先生方がいらっしゃって、教え方がとてもいいと感じたからです。指導者がよければ、ほとんど専門家と同じようなレベルで教えることができますからね。
 今回は人数も多く、大編成のオーケストラだったのですが、小編成のオーケストラでやることも大事です。それによって、いろいろなことがピックアップされてくるので、教わることも多い。大きいものも小さいものも経験することは、これからの彼らにとっていい方向なのではないでしょうか。そして、今日のプログラムは、篠崎先生をはじめ、講師の先生方が考えてくださったと思います。次も、またその次もいいプログラムを作ってくれるでしょうから、それにのっとって進んでいけばさらにいい方向に行くと思います。

最後に、アルプ先生は、「日本に、ここ大分に来られたことを大変嬉しく思い、感謝しています。また来られることを期待しています」とメッセージを残してくださいました。
 
profile

 イスタンブール生まれ。ハンガリーのリスト音楽院でピアノを学び、首席で卒業。引き続き指揮法を同音楽院で学び、2000年に管弦楽指揮法で修士号取得。国際コンクールでも数々の上位入賞歴を持ち、2002年にブタペスト・アカデミー・チェンバー・オーケストラを設立し指揮者兼音楽監督を務める。また、彼のハンガリー現代音楽演奏の功績に対し、2003年ハンガリー文化省より表彰。5年間ソンボトヘイ響で首席指揮者を務めたのち、2006年よりサヴァリア響音楽監督。本年3月、現代最高の音楽家の一人と言われているクラウディオ・アバドに直接指名され、アシスタントとして活動を開始。
 客演指揮者として、ロイヤル・フィル、サンクトペテルブルグ・フィル、RAIトリノ響、ボルドー・アキテーヌ管、ハンガリー放送響、ベルリン・コーミッシェオーパー、ジェノヴァ・カルロ・フェリーチェ劇場管、ルーマニア国立放送響などと共演。数々の国際フェスティバルへも出演している。

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