Vol.51 2011 WINTER

劇場独特の「空気感」を味わってほしい
演出家 三浦大輔 INTERVIEW
一回限りのスリリングなライブ感こそ舞台の魅力
 数あるエンターテイメントの中でも、「舞台演劇」は、人間が最も古くから親しんできた娯楽だ。だが、ありとあらゆる娯楽に囲まれた現代人にとって、「劇場でプロの演劇を観る」という機会はあまり多いとはいえない。映画館で映画を観たことがない人はほとんどいないだろうが、舞台を観たことがないという人はいるかもしれない。
「確かに、かなりの割合で存在するでしょうね。映画やテレビなら、DVDを借りてきたり録画したりできますから、好きな時に自宅でも手軽に楽しめます。それに比べると、舞台のハードルはかなり高い。決まった日の決まった時間に、劇場まで足を運ばなければなりませんし、チケット代だって、映画に比べたら高価。でも舞台の魅力って、そういう『その時、その場にいた人にしかできない体験』をすることじゃないでしょうか」と、三浦さんは語る。
ハッと息をのんだり、思わず笑ってしまったり。ときには、イヤな気持ちに包まれたりもする。シーンが展開するごとに、観客たちの感情は移り変わっていく。舞台の上の出演者たちは、そんな「空気感」を肌で感じながら、演技を続けていく。
「同じ演目でも、劇場を包む雰囲気は毎回違う。上演する土地によっても、劇場の大きさによっても変わってくるし、ときには我々作り手側の出来がよくない時もある。でも、舞台と言うのは一度始まったら、やり直しが効かない。そういう怖さがあるからこそ、舞台は面白い。“1回限り”のスリリングなライブ感が、お客さんにもうまく伝わればいいなと思っています」

今までのイメージとは違う向井理さんが見られるはず
 そんな三浦さんが、今回手がけたのは、アメリカの脚本家で、映画監督でもあるニール・ラビュート作の「ザ・シェイプ・オブ・シングス 〜モノノカタチ〜」。向井理さん演じる冴えない大学生・アダムは、ずっと気になっていたジェニーに告白もできず、遂にジェニーは親友のフィリップと婚約してしまう。そんなある日、アダムは美大の大学院生・イヴリンに出会い、付き合い始める。イヴリンのアドバイスで、髪型を変え、身体を鍛えたりするうちに、アダムを取り巻く環境が変わっていく――。
「外国の戯曲を演出するのは初めてなんですが、男と女の恋愛を描いているという意味では、日本人にとってもリアルに受け止めやすい、普遍的なテーマです。演出するうえで気をつけたのは、セリフの選び方。日本人と外国人じゃ、国民性の違いもあるし、言葉のやりとりのテンポも違う。元のセリフをそのまま訳すのではなく、日本人にとってリアリティのある言葉に置き換える作業に時間をかけました」
主演の向井理さんは、映画やテレビドラマではおなじみの人気俳優だが、舞台には今回が初の挑戦となる。
「役者と演出家って、価値観を共有できないとうまくいかないんですが、向井君となら面白い作品が作れると思っています。向井君って、自分をカッコよく見せたいと考える人じゃないんですよね。自分の中の醜い部分や情けない部分も、平気で出そうとしてくれる。今回の舞台では、今までのイメージとは全く違う向井君が見られると思いますよ」。

profile

三浦大輔(みうら・だいすけ)

 1975年北海道生まれ。1996年、早稲田大学在学中に演劇ユニット「ポツドール」を結成。以降、全作品の脚本・演出を担当。2004年に手掛けた『劇情』は、フジテレビ系列『劇団演技者。』でテレビドラマ化され評判を呼ぶ。2006年『愛の渦』で岸田國士戯曲賞を受賞。近年では舞台演劇の脚本・演出のほか、映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』の監督を務めるなど、映像作品にも注目が集まっている。


iichiko presents
ザ・シェイプ・オブ・シングス 〜モノノカタチ〜


日時
2011年3月16日(水)18:30開場/19:00開演
17日(木)12:30開場/13:00開演

会場 iichiko音の泉ホール
原作 ニール・ラビュート
演出 三浦大輔(ポツドール)
出演 向井 理、美波、米村亮太朗、川村ゆきえ
料金 全席指定 7,000円、学生席(高校生以下)3,000円
※学生席は3月16日(水)公演のみ販売
主催・お問い合わせ
(財)大分県文化スポーツ振興財団 TEL 097-533-4004

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