Vol.51 2011 WINTER

さあ、もうすぐベルが鳴りますー直前のプログラムをレクチャー

大夫、三味線、人形。
初めは、面白いと感じるものを一つづつ注目してみることです。

iichiko presents 人形浄瑠璃文楽

 この春も、恒例となった「人形浄瑠璃文楽」大分公演が催されます。日本の伝統芸能の一つとして、若い世代にも人気が広がりつつある文楽。とは言っても、未体験の方々からは、難しそうという声が聞こえてきそうです。そこで、“普及魔”を自認しつつ、文楽を広めることに熱中している高橋鴿子さんに、文楽の楽しみ方を伝授していただきました。

人形浄瑠璃文楽

 初めて文楽を見た時、きれいだなあと思ったのが記憶に残っています。今のように一生懸命見始めたきっかけは、東京の国立劇場で文楽を再び見てからです。文楽の魅力は、たとえば、ものすごく色っぽい場面を演じても人間だと艶めかし過ぎますが、人形だととても美しい。“文楽に興味を持つのは人形からというのが一般的”と言われている通り、まさに私も吉田簑助さんの遣う人形に魅せられた一人です。由布院美術館も設計の段階から舞台仕様の展示室を作り、野外公演を10年間続けました。簑助さん演じるお初の手拭いが自然の風で揺れたり、蛍が飛んだり。中庭を花道にして「曽根崎心中」の道行を簑助さんと桐竹勘十郎(当時は吉田簑太郎)さんで上演したことも。人形の首(かしら)を雨の雫ひと粒たりとも濡らしてはならないのに、その時だけ大雨がぴたりと止んで、文楽ファンに大変喜んでいただきました。


 文楽鑑賞とよく言いますが、鑑賞ではなく娯楽として見ればいいと思います。難しそうと敬遠せずに、興味のある所から入っていけばいい。最初から全部に目をやるというのではなく、この演目は三味線をよく聴いてみよう、次の演目では大夫さんに注目してみようとか。語っている言葉は理解できなくても、泣いたり笑ったりする大夫の声と顔を見るだけでも面白いですよ。初めは一つひとつをバラバラに観ていても、最後には、大夫、三味線、人形の“三業一体”の文楽の真髄を総合的に楽しむことが出来るようになります。人形の三人遣いは世界的にも文楽だけと言われていて、三人の息が合わないとうまくいきません。そこが分かってくるとさらに面白くなります。しかし、演目のあら筋だけは、事前にインターネット等で下調べするか、説明書きを読んでおいた方がいいですね。そうでないとストーリーばかりが気になって、面白さに目がいかないのです。

高橋鴿子

 今回の公演は、文楽の人気演目が揃いました。「仮名手本忠臣蔵」は、映画やテレビでもよく知られている「忠臣蔵」に登場する有名なカップル“お軽・勘平”が主人公の段です。主君の一大事の最中、密会していた二人。若気の至りがその後の悲劇に繋がるという物語です。話の展開がどんでん返しの連続で、涙なくしては見られません。「釣女」は狂言仕立てで喜劇です。大いに笑ってください。「曽根崎心中」は、“お初・徳兵衛”のこれまた悲恋ですが、心中の場面がやはり見どころで、道行は音曲も素晴らしくて美しい場面です。お初を演じる人形遣いの桐竹紋壽さんは大ベテラン、徳兵衛の吉田玉女さんは、徳兵衛を千回以上演じたという亡き人間国宝の吉田玉男さんの一番弟子。どう演じるか、文楽を何度も観ている方にとっても楽しみです。


profile

由布院美術館・聴潮閣高橋記念館館長
高橋鴿子(たかはし・はとこ)

東京都出身。中学3年生で文楽を見てから、再び文楽に目覚めたのは40代後半。九州文楽同好会を作り、文楽の面白さを伝える活動を始める(現在は休眠中)。1991年から10年間、由布院美術館にて毎年文楽の野外公演を開催するなど、文楽をこよなく愛する。76歳。別府市在住。

iichiko presents 人形浄瑠璃文楽
日時 2011年3月2日(水)
【昼の部】13:00開場/13:30開演【夜の部】18:00開場/18:30開演
会場 iichiko 音の泉ホール
出演 人形浄瑠璃文楽座
料金 A席4,000円、B席2,000円、C席1,000円
主催・お問い合わせ/
(財)大分県文化スポーツ振興財団 TEL097-533-4004

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