Vol.47 2010 WINTER

ドキュメント! iichikoグランシアタ ジュニアオーケストラ物語

いよいよチケット発売開始!

「お客さんが感動するような演奏」を目指します

 「さすがに、よくなってきているね」11月7日、8月の集中練習以来3カ月ぶりに合奏の指揮を執った小野富士先生から、ちょっぴり出たお褒めの言葉。それは決してお世辞ではないはず。確かに夏以降、子どもたちの向上心に火がついた様子なのだ。
 もともと大人しい子どもたちだが、オケ発足当初の〈遠慮〉を伴った大人しさではなく、心に宿る〈情熱〉を静かに秘めているという感じ。そしてその熱を、積極的に音楽で表現しようとする意欲がひしひしと伝わってくる。
 子どもたちがオーケストラで音楽を奏でようとする動機は、ほんとうに様々。物心つかないくらい幼い頃から楽器を習い続けている子。始めてまだ数年だけど、努力して追いつこうとしている子。中学で出会った楽器に、長年のブランクを経て再チャレンジしている子。憧れの演奏家に近づきたくて応募したという子……でも、今のみんなにひとつ共通するのが「キツイより楽しい」と感じていること。「厳しい?」という質問を向けてみる、首をかしげたり横に振ったり、そして「いや、楽しい!」と、どの子も笑顔を見せる。練習日、子どもを送りに来たあるお母さんに尋ねてみても、「先輩や後輩、タテの繋がりができて楽しいみたいです」とのこと。
 さて、第1回定期演奏会の本番まで4カ月を切り、チケットが発売となった。チャイコフスキーの交響曲第5番に挑戦している子どもたち。みんな口々に「難しい」「ついていくのが大変」と漏らすものの、ずいぶん曲は〈ジュニアオケ〉の色を帯びてきた。そんななか、ある小学生の団員が話してくれたことが印象に残っている。
 「私たちは〈ジュニア〉だけど、みんなで一緒に、お客さんが感動するような演奏をしたいです」

8月以来の来県となったN響の小野富士先生。合宿の時の厳しさを思い起こして最初はみんな緊張気味でしたが(!)、泉のように湧く豊かな表現を用いて、ときに舞台役者のような身振り手振りを交えてのレッスンに再びグイグイ引き込まれ、またちょっと上達
オーボエ 井元彩英乃さん(中2・大分市)「白鳥の湖」を聴いて、オーボエに憧れる。吹奏楽部で吹いているけど、初めは口が痛くなって慣れるまで時間がかかったそう 合宿を終えた頃、新品の大太鼓がやってきました。アンコールで大活躍する予定?! 8月以来の来県となったN響の小野富士先生。合宿の時の厳しさを思い起こして最初はみんな緊張気味でしたが(!)、泉のように湧く豊かな表現を用いて、ときに舞台役者のような身振り手振りを交えてのレッスンに再びグイグイ引き込まれ、またちょっと上達
ある団員のヴァイオリンケースには、マロ先生とのツーショット写真が忍ばせてありました。「お守りのようなもの」と
フルートは女の子ばかりのパートです。息継ぎをする場所の確認をしながら、ゆっくり丁寧に進むレッスン オーボエ 井元彩英乃さん(中2・大分市)「白鳥の湖」を聴いて、オーボエに憧れる。吹奏楽部で吹いているけど、初めは口が痛くなって慣れるまで時間がかかったそう
小学生から大学生まで年齢層が幅広く、少人数の打楽器パート。「みんなが違う楽器を担当するのでそれぞれが重要な役割。合奏したり、ひとりずつ指導したり、集中力を保ちながらやっています」と松倉先生
フルート担当の成清先生。「難しいねぇ…」と子どもと同じ気持ちになりながら優しく指導する姿が印象的です コントラバスは、メンバー2人に時津りか先生で練習しています。指の位置や、弦をはじくときの音の響きなどを、ひとつひとつ丁寧に確認しながらのレッスン
ヴァイオリンから転向し、初めてチャレンジする子ばかりのヴィオラパート。先生は、優しくて面白いと評判の内田先生小学生から大学生まで年齢層が幅広く、少人数の打楽器パート。「みんなが違う楽器を担当するのでそれぞれが重要な役割。合奏したり、ひとりずつ指導したり、集中力を保ちながらやっています」と松倉先生
STAFF PICKUP

音楽で自己表現を。ソロではオーケストラに華を!

オーボエ講師 池田昭子 先生

オーボエ講師 池田昭子 先生

 大分の子どもは、大人しいですがすごく一生懸命で、ちょっとずつ引きだすと「積極的に音楽をやりたい」という気持ちの強さが伝わっ てきます。すごく反応がいいので教えがいがあり、楽しみです。オーボエはソロが多い楽器なので、オーケストラの“色”がでます。ソロになったとき華やかに、一瞬で色が変えられるように「俺の音を聞いてくれ!」というつもりで吹いてもらいたいですね。普段大人しいからこそ、自分の持ってないキャラクターを音楽で表せるのは自己表現にもなります。ただし、自分だけの世界にならないで、演奏を聴く人のところに音を届けるんだということを大切にしてほしいと思っています。


PROFILE
NHK交響楽団オーボエ奏者。東京芸術大学卒業。卒業時に皇居内桃華楽堂にて御前演奏を行う。広田智之、小島葉子、宮本文昭、フランソワ・ルルーの各氏に師事。文化庁在外研修員としてミュンヘン、リヒャルト・シュトラウス音楽院に留学。東京交響楽団を経て04年NHK交響楽団に入団。現在、NHK交響楽団オーボエ奏者、トリオサンクアンシュメンバー。
STAFF PICKUP

積極的に音を出すことや、みんなで音楽をつくる醍醐味を教えたい。

ティンパニ・打楽器講師 松倉利之 先生

ティンパニ・打楽器講師 松倉利之 先生

 打楽器は、オーケストラのなかでも一つの楽器に1人しかいないので、音を出すのに勇気がいります。ですから、精神的な部分を鍛えて、気持ちをしっかり持つように言っています。思い切って、積極的に音を出す姿勢が生まれてくるといいですね。このオーケストラを通じては、他の楽器と一緒に演奏するとずいぶん音楽的に広がりがでること、1人ではなくみんなで音楽をつくるという面白さを学んでほしいと思います。ちなみに、打楽器は少人数で年齢差があるので、合奏したり、個々人にアドバイスしたりレッスンにバリエーションをつけています。お姉さん方の面倒見がよく、和気あいあいと練習を進めています。


PROFILE
東京芸術大学音楽学部器楽科卒業。同大学院音楽研究科修了。主に室内楽、室内オペラ、オーケストラの分野で演奏活動を行っており、これまでにフランス、ドイツ、オーストリア、スペイン、スゥェーデン、ヴェネズエラへの演奏旅行や録音、国内の音楽祭に参加している。現在、大分県立芸術文化短期大学教授、エリザベト音楽大学非常勤講師、及び「パーカッショングループ72」、「東京シンフォニエッタ」のメンバー。

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