
グランシアタでの初練習を経験した、
子どもたちの熱い夏
ジュニアオーケストラのレッスンは、iichiko総合文化センターの地下練習室で行われている。月に2回ペースの練習日には、時計が午後1時きっかりを指すとチューニングの音が聞こえてきて、さっそく合奏がスタート。楽譜を確かめながらたっぷり2時間ほど合わせたら、次はパートごとに分かれてもう2時間。団員の子どもたちは、ほとんど休む間もなくみっちり練習をこなしていく。
そんなレッスンもあっという間に3カ月が経ち、子どもたちは夏休みに突入。8月3〜5日には東京からNHK交響楽団の先生方を迎えて集中練習が決行された。その最終日には、グランシアタでの初練習という貴重な経験を得ることとなった。
日頃はギュウギュウの練習室で音を出している子どもたちにとって、グランシアタで課題となったのが“遠くまで音を飛ばす”こと。まだ音が弱く表現力も足りないオーケストラに、ときには先生から「話にならない!!」と熱く激が飛ぶシーンも。大人は、プロは手を抜かないのだ!
そんな厳しい3日間を過ごした団員たちの心境に変化が。集中練習を終えたミーティングでの、ある団員の感想。「できてない部分はいっぱいある。けど、できるところもあるのはうれしい。うれしいことを増やして、本番も楽しくがんばりたい」と、少しの自信も得た様子。そして最後に、楽団をまとめるインスペクターの宮邉健太さん(高専4)が、「先生に怒られてばっかりだったけど、3日間で教わったことはたくさんある。楽譜に書きこんだことはしっかり練習を。これからがんばっていきましょう」と締めくくった。
次回の練習からは、団員一人ひとりがまた新たな気持ちで臨むことだろう。憧れの舞台、グランシアタでカッコヨク演奏する日を夢見て。
STAFF PICKUP
目標を持ち、自分を磨いてほしい。
クラリネット講師 山口えつ子 先生
クラリネットは演奏曲目が難しいので心配でしたが、目に見えて進歩しています。講師でN響のクラリネット奏者・松本健司さんにも「みんな反応がいいので、来年4月の演奏会に間に合うと思うよ」と言っていただきました。ただ演奏するだけでなく、高い目標を持って、自分を磨くという発想が生まれれば、レベルも上がりますし、本人も吹いていて楽しくなるはずです。指導する立場としては、褒めることを心がけて、自発的に練習したいと思うようになってもらいたいと思っています。
- PROFILE
- やまぐち・えつこ 大分東明高等学校非常勤講師。バリバリの大分弁で指導する気どりのなさが、厳しくも親しみやすく、アットホームな雰囲気をつくってくれる先生。
STAFF PICKUP
楽しい思い出を胸に、いい演奏を。
フルート講師 甲斐雅之 先生
なかなかレッスンに来れないので、1度に話す量が多くなってしまいます(笑)。まだ子どもたちは緊張気味でした。最初のほうは緊張するし、僕も緊張することがありますが、そんなときに、子どもの頃はじめてオケに参加して楽しかった記憶が甦るんです。楽しいと好きになれますから、“楽しい思い出”をずっと心に持っていてほしいですね。そして、徐々に打ち解けて、みんなでスクラムを組んでのびのびと演奏してもらえたらと思います。上達するのを楽しみにしています。
- PROFILE
- NHK交響楽団フルート奏者。アジア・フルート連盟理事。オーケストラの他、室内楽奏者としても活躍中。