Vol.46 2009 AUTUMN

歌、ダンス、お芝居、そのすべてを体感できるのがミュージカルの魅力です。 iichiko presents 大分公演 ブロードウェイ・ミュージカル『フットルース』 ミュージカル女優 中村香織
 華奢で小柄な身体からは想像できないほどの歌唱力と表現力で、劇団スイセイ・ミュージカルの看板女優として活躍する中村香織さん。12月7日公演のミュージカル『フットルース』でヒロインを演じる彼女に、作品の魅力やミュージカルの楽しみ方についてうかがいました。
― 今回の公演作品は、80年代に大ヒットした映画『フットルース』のミュージカル版。原作の映画はご覧になりましたか。
 挿入歌に知っている曲がたくさんあって、初めて見た感じがしなかったですね。熱い学園モノで、見ていると元気になるような、ミュージカルにしやすい作品だと思います。劇場に来られた方にも、楽しい気持ちになって帰っていただけるんじゃないでしょうか。
― 確かにボニー・タイラーの「ヒーロー」をはじめ、有名な楽曲がたくさん使われていますよね。
 これまで私が演じてきた役ではソプラノのきれいなバラード曲が多く、激しいロックナンバーは初めての挑戦になります。これまで培ってきた自分の経験の中で演じようとすると限界があるので、まったく新しい自分に脱皮するつもりで、声の作り方や役作りをしなくてはいけないと痛感しています。
― 植木豪さん、川麻世さんや川島なお美さんなど、ゲスト陣も豪華ですね。
 皆さんがさまざまな分野で活躍されている方々なので、演じる上でいろいろな影響を受けると思います。特に川さん、川島さんとは親子役なので、本当の家族のように仲良くなりたいですね。
 大勢で一つの作品を作り上げるには、空気作りも重要。芸歴が長い方々と共演すると確かに緊張するのですが、私は常に余裕を持とうと努力しています(笑)。それがたとえハッタリでも、本当に余裕が出てくるようになるんですよ。だからいつも笑顔を心掛けて、自分自身を奮い立たせています。
― 中村さんがミュージカル女優を目指したきっかけを教えてください。
 小さい頃は歌手になりたかったんです。でも中学生のときに宝塚の公演を見て、「これだ!」と思いました。歌もダンスもお芝居も、全部できるのはミュージカルだけですよね。ミュージカルに興味を持ったのは、一言でいうと欲張りだからなんです(笑)。
 よく「踊りながら歌えるんですか」と聞かれますが、逆に歌か踊りのどちらか一つだけで表現するほうが、私はストレスがたまりますね。両立というよりは、二つで一つなんですよ。ただ立って歌うよりも、身体を動かしながら歌ったほうが声も出ますし、歌うことで自然と身体も動き、踊りが後からついてきます。
 いろいろな舞台を拝見しても、私自身、全身がビリビリしびれるほどの感動はミュージカルでしか味わったことがありません。歌だけ、お芝居だけ、踊りだけでは物足りず、それらが総合しているからこそ、演じ手の感情を全身で感じることができるのでしょうね。表現のすべてが集約されていることが、ミュージカルの魅力になります。
― 歌いながら演じたり、急にダンスが始まったりというミュージカル独特の演出に慣れず、ミュージカルが苦手という人も多いですよね。
 スイセイ・ミュージカルでは、そういったミュージカルの違和感にできるだけ配慮して脚本作りを行っています。セリフがいつのまにか歌になり、歌が盛り上がってダンスにつながるという自然な流れを大切にしているんです。だからミュージカルが苦手な方でも、変なアレルギーは起こらないと思います。
 セリフが歌になると聞き取りづらいという方もいらっしゃるのですが、その点でもメロディー以上に歌詞を重視して、言葉を伝えることを心がけています。『フットルース』でも、何を言っているのか分からないまま話が進むということはきっとありません。
― 大分公演は1日限りですよね。緊張はありますか。
 ミュージカルは映像作品と違ってやり直しもきかないですし、始まったら止まりませんから、とにかく集中するようにしています。無意識なんですけど、本番の日って身体の感覚がいつもと違うんですよね。きっと細胞の一つ一つが、「今日は本番だ!」っていう意識を持っているんでしょう。だから本番を終えると、一気に気が抜けるんです。その1回限りの緊張感を生で味わえるのが、舞台やミュージカルの醍醐味だと思います。
― これまでも何度か大分で公演されているとお聞きしましたが、大分の印象というと?
 真っ先に思い浮かぶのはカボスです! どんな食事にもカボスが置かれていて、カレーにもカボスがついてきたときは驚きましたね。あと街並みがステキですよね。地方公演できれいな街並みを歩くとそれだけでテンションが上がるので、本番ではより気合いが入ってしまいます!
失敗が許されない、常に100%の力が要求される世界で活躍を続ける中村さん。ほがらかな笑顔でミュージカルへの想いを語る姿はとてもチャーミングで、舞台への愛情が伝わってきました。
PROFILE

ミュージカル女優 中村香織

なかむら・かおり/6月9日生まれ、広島県出身。幼少時からジャズダンスを始め、中学生のときに宝塚を見て女優を目指す。大阪芸術大学舞台芸術学科ミュージカルコースで演技・声楽・ダンスの基礎を学んだのち、スイセイ・ミュージカルに入団。主な出演作に『FAME』『サウンド オブ ミュージック』『広い宇宙の中で』など。その伸びやかな歌声には定評がある。

iichiko presents 大分公演 ブロードウェイ・ミュージカル『フットルース』
iichiko presents 大分公演
ブロードウェイ・ミュージカル『フットルース』
日時 2009年12月7日(月) 18:00開場/18:30開演
会場 iichiko グランシアタ
出演 植木豪、中村香織、吉田要士、星野真衣、佐藤亜美菜、福島桂子、麻倉未稀、川島なお美、川麻世
料金 SS席6000円、S席5000円、A席4000円、B席3000円、C席2000円、学生席1500円
主催・公演に関するお問い合わせ/
(財)大分県文化スポーツ振興財団
TEL 097-533-4004
映画『フットルース』(DVD)
映画『フットルース』(DVD)
販売/パラマウントジャパン
 1980年代に一世を風靡した映画版『フットルース』。全米では公開4日目に20億円の売り上げを超えた大ヒット作品。主役を演じたのは若かりし日のケビン・ベーコン。彼もこの映画をきっかけに名優へと転じていった。
オリジナル・サウンド・トラック 「フットルース」
オリジナル・サウンド・トラック
「フットルース」
販売元/ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
 一世を風靡した数々のナンバーが収録されたサウンドトラック。TVドラマ「スクールウォーズ」の主題歌「ヒーロー」や「金曜日の妻たちへII」の主題歌「パラダイス〜愛のテーマ」など名曲揃い。聴いているうちに体が自然と動き出しそう!

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