
iichikoグランシアタ・ジュニアオーケストラに
たくさんの子どもたちが集まってきた!
心も音楽もひとつになろう
2009年4月18日、iichikoグランシアタ・ジュニアオーケストラが誕生した。団員数は、9歳から19歳までの子どもたち87
人。それに講師、事務局のスタッフ、さまざまな人間がかかわり、ここにひとつの社会ができあがった。
結団式の直前、昨年11月からの募集に応じた子どもたちを対象に、2日間に渡ってオーディションが行われた。芸術監督の篠崎史紀先生(以下マロ先生)、音楽監督の川瀬麻由美先生をはじめ10人の講師を前に、子どもたちはみな極度の(?!)緊張状態。しかし、演奏が終わったとたん、マロ先生から投げかけられる質問に子どもたちの表情がガラッと変化したのが印象深い。
「朝ごはん、何たべた?」
「……(そんな質問するの)?!」
と、ここからは子どもの独壇場。不意打ちをくらった彼らの顔はイキイキ、日常生活を包み隠さない答えに、審査員は爆笑の連続となったのである。
実は、これこそが審査員の狙い。
「表情が変わると、それを待ってましたという感じで(笑)。子どもたちの素が知りたくて、音楽とは関係のない質問をわざとしたんです」と川瀬先生。その結果、マロ先生が得た感触は?
「大分って、一人ひとりの個性が濃いね!楽しいオーケストラになりそうだ」と、オーディションを終えてひとこと。
そして、子どもたちが集まってきた。けれど、彼らは年齢も、習熟度も、経験も異なる子どもたち。果たしてうまくまとまっていけるだろうか?
ジュニアオーケストラが大切にすることは、子どもたちの自主性、可能性を伸ばすこと。結団式で、先生たちが口々にこう言っていた。
「みなさんは今日から仲間。みんなの心も楽器も、ひとつにならなければ調和はとれません。友達を思いやり、わからない子がいたら助けてあげてください」
ジュニアオーケストラの初公演は、来年の4月3日(土)。チャイコフスキーとロッシーニに挑戦する。結団式の次週からすでに、レッスンが始まっている。
STAFF PICKUP
子どもたちの個性を消さないように指導していきたいです
音楽監督 川瀬麻由美 先生
まる2日に及ぶオーディションで100人近くの子どもを審査して、普通なら長時間の審査に体力を消耗しそうですが、どの子も個性が強く特長が出ていて楽しみながら審査することができました。子どもたちは、親や先生に無理やり受けさせられたのであれば、大勢の先生の前で萎縮してしまって弾けないはず。そうじゃなくて立派に演奏して、受け答えもして、正直に自分の考えを自分の言葉で話してくれました。オーケストラになったとき、一人ひとりのその個性をかき消してしまわないよう、それぞれの良さを把握して指導していきたいと思います。また、子どもたちに友達を思いやる心が育ってくれるといいと思います。その手伝いを我々もしていくつもりです。
- PROFILE
- かわせ・まゆみ 桐朋学園大学卒業。東京シティフィルの副コンサートミストレスを経て、読売日本交響楽団など日本各地のプロオーケストラのゲストコンサートマスターやサイトウキネンのメンバーとして、またソロや室内楽など国内外で活動。現在は大分県立芸術文化短期大学准教授。