Vol.44 2009 SPRING

談鼎(ていだん)iichiko  グランシアタ・ジュニアオーケストラの未来を語る。「音楽を通して、大分から世界に何かを発信できれば面白い」ジュニアオーケストラ、芸術監督 篠崎史紀・ジュニアオーケストラ、音楽監督 川瀬麻由美・大分県文化スポーツ、振興財団理事長 立花旦子

大分県立芸術文化短期大学理事長・学長
(財)大分県文化スポーツ振興財団理事
中山欽吾

なかやま・きんご

大分上野丘高校から九州大学卒業後、三井金属鉱業(株)に入社。三井金属(米国)の社長に就任。バリトン歌手で養父でもある中山悌一の強い要請で、「二期会」(オペラや声学全般の振興を図る団体。平成17年より「財団法人東京二期会」に名称変更)に転身。(財)東京二期会常務理事も務める。大分市出身。

財団と芸短の友好交流協定も、
ジュニアオーケストラも我が意を得たりです。


 芸術感覚だけでなく、経営感覚も併せ持つ学長として昨年10月に着任し、高校卒業以来半世紀ぶりにUターン。大分県文化スポーツ振興財団の理事にも就かれた中山欽吾さんに、芸短や大分の芸術環境、財団のこれからの取り組みについてお話をうかがいました。

 まず、学生が非常に明るく、素直な印象を強く持ちました。「あっ、学長さん」と声をかけてくれたり、挨拶もよくしてくれます。それはもともと大分が持っている風土である上に、地元に根ざした公立の短大という意識、地域との結びつきを強くすることが芸短の方針として明確に打ち出されてきたことの積み重ねでもあるのでしょう。芸短では、地域社会特講とサービスラーニングというプロジェクトを始めています。大分県内の祭りやイベントで中心となって動いている方を招いての講義(地域社会特講)と、実際の現場に出て行く(サービスラーニング)ことをセットにしたものです。その体験から、学生は仕事の楽しさや意義、達成感を感じ取ることができる。先生方も今後どの様な取り組みをしていくべきかがそこから見えてきます。年頭の教授会でも、“小さくてもキラキラ輝く芸短”にしないといけないでしょと申し上げました。しかし、学内だけで輝いても仕方がないわけで、一般の方々から見て「輝いてるね、元気だね」と言っていただくために何をすべきかを考えましょうよと。去年の芸短定期演奏会でも、非常に高いレベルにもかかわらず、お客さんは半分も入っていなかった。それは一般の方々には知られていない、見えていないということです。キラキラ輝くとは、見えるようにすることだともお話しました。
  さて、芸術環境という点ですが、大分は「場」としては恵まれています。人が集まり易い街の中心部に質の高いiichikoグランシアタや音の泉ホールがあるのは素晴らしいことです。大分県文化スポーツ振興財団と芸短が友好交流協定を結んだことは、私にとってもわが意を得たりです。学生や教授達には発表する場が必要で、専門性が高くなればなるほど核になる劇場が求められます。良質のホールを持つ財団と協力できるのは、自前のホールを持つことと同じですからね、すごいことなんです。
  財団の理事としては、まだどういう提案をしていくべきか絞り込めていませんが、学生の発表の場として会場を借りるだけでなく、様々なコンテンツを含めた協力関係ができるのではと考えています。欲張りですが、芸短にも、財団にも、県民の皆さんにもプラスになることをこれから絞りこんでいくつもりです。そういう中、財団の最初の理事会で印象的だったのが、これからは若い人達を内部から育てていくという方向に舵を切り、ジュニアオーケストラを設立したとのこと。これは参加する子ども達だけではなく、その家族や周りの友達まで巻き込むことができるものです。教わるのは参加する子ども達ですが、周りにも確実に広がっていきます。よくぞスタートさせたと思いますね。こういうことを続けてやらない限りは、トップアーティストは出てこないし、裾野を広げないことには、トップは高いレベルにならないということなのです。時間がかかるでしょうが、必ず実を結ぶと確信しています。


前のページ  1 | 2 | 3

このページのTOPへ戻る