Vol.44 2009 SPRING

Musical instruments to read
読む楽器

トランペット・フリューゲルホーン

 トランペットが使われている曲といえば、「いい日旅立ち」のイントロ、運動会でおなじみ、「トランペット吹きの休日」、「ロッキーのテーマ」、そうそう忘れてはいけません、必殺仕事人シリーズのヤマ場で使われていますね。トランペットはその張りのあるきらびやかな音色で曲のメロディーを奏でる花形スター的な役割を担っています。
  ところが最近のジャズトランペットの世界では、比較的やわらかく、ダークな音色が好まれるようになってきました。 トランペットのサウンドは演奏者によってかなりその音色が変わってきます。その要因はトランペットを含む金管楽器の音源にあります。それは、人間の体の一部が発音体になっているからです。人間の身体を使っているものは金管楽器と声しかありません。つまり唇の振動を使って音を出しているがゆえに音色に違いが出てきます。もともと人間の唇はトランペットを吹くように出来ていません。口の周りの筋肉を鍛える必要があります。おかげで人前で演奏できるようになるための下積み練習時代が一番長い楽器であるように思います。また最近、アンチエイジング美顔体操を見かけますが、口の周りの筋肉を総動員してトランペットを吹くことは美容にもいいのかもしれません。ですから女性にも吹いていただきたいです。
  音色のもうひとつの要因、これがジャズトランペッターの最大の悩みかもしれません。それは、その奏者の人生観や感情の表現力です。テレビの司会でおなじみのタモリ氏はその昔ジャズトランペットを吹いていましたが、先輩からの「お前のラッパは笑っているが、ジャズの帝王マイルス・デイビスの音は泣いている」という一言で、トランペットを諦めたというエピソードも。
  ジャズではトランペットとフリューゲルホーンが良く使われます。トランペットは力強く、フリューゲルホーンはソフトでメロウな音。どちらも魅力的なサウンドです。是非ジャズトランペットを聴いて欲しいと思います。

文/トランペット・フリューゲルホーン奏者 佐藤史郎 (さとう・しろう)

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