Vol.43 2009 WINTER

子どもたちってすごい! これからも続けてほしい、ジェンベやアフリカンダンス ライブが終わり、顔にキラリと充実した汗が光る講師のおふたりに、今回のワークショップの感想をおうかがいしました。いちばん楽しんでいたのは、先生たちかも……?!

得たもの、与えたもの
 パーカッショニストの榎本裕二さんは、福岡にジェンベ教室を持っている。けれど実をいうと、子どもに教えるのは今回のワークショップが初めてのことだったという。
 「〈次代を担う子どもたちの育成〉というテーマで、自分がやっているジャンルが選ばれて動き出したことに、講師としての意識が高められました。子どもは呑み込みが早かったですね! 3カ月とはいえ、ライブ本番までのレッスンは全部で6回。長いようであまり時間がなかったのに、これだけのことができてすごいと思いました」
 レッスン中盤、課題になったのが子どもたちの集中力。しかし、頼るべきはお母さんたち。家でもしっかり練習の時間をつくってくれていたし、ライブ当日の衣装もお母さんたちが手づくりしてくれたものだった。ただ、全体を振り返って、裕二さんは「子どもたちだけというのも良かったかも」と、鋭く指摘?!
 「いえいえ、決して今回のワークショップのスタイルが悪かったということではないですよ(笑)。子どもと一緒にする中で刺激を受け、学んでいるのは大人の側なんですよね。一方で、子どもにとって甘えられる親が側にいるという安心感は家庭内で充分なわけで。家とも、学校とも違う、ジェンベというコミュニケーションツールを使った輪の中で、子どもたち自身が自分をどう表現していくかが重要かな」

未来へ続いてほしい
 また、アフリカンダンスの講師、村井美弥子さんは、「初めはピーンと張り詰めていた雰囲気だったんです。だけど、全員がひとつの目標に向かって進むうちに、その緊張が溢れんばかりの笑顔と、親子のコミュニケーションによってみるみる解けていったんです。最後には、みんなでやり遂げたという一体感が生まれ、ダンスで会話ができていると思いました」と、うれしそうな表情。そういえば、本番前のリハーサルが始まろうとしたときのこと、美弥子さんがふと子どもたちの名前を呼び、手紙を配っていくシーンがあった。「先生お手紙書いたの。いま開けちゃだめ! 帰ったら読んでね」と。手紙を渡された子どもたちのうれしそうで、でも寂しそうな顔。美弥子さんの気持ちを受け取った子どもたちは、将来きっと、今回のワークショップが大きな経験になったことに気づいてくれることだろう。手紙の内容はナイショですが、最後にこんなメッセージをくれた。
  「親子でふれあうという企画の中で、相手への思いやりや日々の努力、助け合いなど、便利な世の中で忘れがちなありがたさや優しさを大切にしてほしいですね。ダンスのステップを学ぶのと同じように。ダンスは心の鏡! 今回で終わりじゃなくて、続いてほしいですね」
  ところで、裕二さん、美弥子さんともに福岡市に在住、出身はそれぞれ宮崎と北九州。「今回のワークショップで距離も心も大分が近くなった気がする!」というふたりは、大分の子どもたちの未来に、たっぷりと光を射してくれました。

パーカッショニスト
榎本裕二(えのもと・ゆうじ)
 宮崎県生まれ。95年渡米(留学でニューヨークへ)。その後、民族音楽に魅せられパーカッショニストとなり、福岡を拠点に九州各地のライブハウス、祭、イベントや小学校の国際交流などで活躍。アフリカンの演奏者として才能を拓き、99年8月、世界的なジェンベ奏者ママディ・ケイタの命名を受けたアフリカンバンド「FOLIKAN」始動。同年12月〜2000年2月には、ギニアで行われたワークショップで修業を積んだ。
アフリカンダンサー
村井美弥子(むらい・みやこ)
 北九州市生まれ。ストリート系音楽やダンスに熱中、そのルーツであるアフリカに興味を持ち、西アフリカ諸国での修業旅行を通じて現地の伝統舞踊を習得する。現在福岡に拠点を置き「劇団AFRICA」「ギリギリ☆マンディング」などに所属。07年、「FOLIKAN」のサポートダンサーとしてタイ・バンコクへ。08年には韓国・ソウルでママディ・ケイタに同行しアフリカン・ダンスを教える。

アフリカン・シップ

横断幕に隠れたストーリー
 踊り、太鼓が鳴り響くライブステージの背景に飾られていた、『アフリカン・シップ』の横断幕。これ、実は参加した親子の手形と足形がちりばめられたものでした。制作に協力してくれたのは、大分県立芸術文化短期大学専攻科造形専攻の鶴田純さんと濱田恵理さん。素材の買出しから、企画、制作までを担当してくれて、本番当日もライブを観にきてくれていたんです。
 レッスンも終盤のある日、練習会場に現れた大きなアフリカらしい麻の布。これに親子が手形と足形をつけていきました。ジェンベを叩く手と、ダンスで大地をふみしめる足。これを大学に持ち帰った鶴田さんと濱田さんが、『アフリカン・シップ』の文字を入れ、船の形に切り取って完成させたのです。  鶴田さんと濱田さん。ふたりも、そう、すてきな『アフリカン・シップ』の一員です。
つなぎ姿がかわいらしい、造形専攻科の鶴田純さん(左)と濱田恵理さん(右)。

前のページ 1 | 2

このページのTOPへ戻る