Vol.43 2009 WINTER

真綿がいっぱい詰まっている、ふかふかのクッション。それが、iichikoグランシアタ・ジュニアオーケストラに配属された講師陣の印象。どの先生も優しくあたたかい心で子どもたちを受け入れ、未来へ育てていこうという気持ちにあふれています。チームワークもばっちり! なのだそうですが、今回は総勢約25名の講師の中から3名の方にお話をうかがいました。豊府高校の吹奏楽部を立ち上げ、やがては金賞へと導いた経験を持つ辛島慎一さん、笑顔がとっても素敵なクラリネット奏者山口えつ子さん、そして大分交響楽団に所属の若手実力派、藤沢友里さんです。さあ、『アフリカン・シップ』の次には、ジュニアオーケストラがいよいよ始動します。

フランスのパリに留学していた時のこと。持っている楽器が地面につきそうなくらい小さな子ども達がレッスンに通う光景や、いつもほぼ満員のコンサートホールを日常的に目の当たりにしていました。そこには〈育む〉環境があったんです。大分に生まれた「ジュニアオーケストラ」は、すっごい財産になると思っています。ガーデニングに例えるなら、鉢といい土はもう揃っていて、種を募集しているところ。これに栄養をたっぷりかけていったら、絶対にきれいな花が咲く予感がしています。
今は、たくさんの生徒さんが集まってくれることを願っています。オーディション自体、落そうとするものではなく、講師陣としては「一緒にやろうよ!」という気持ちでいるので、興味があるならぜひ受けてみてほしい。入団して、教わりながら上手になればいいんですから!

あこがれの川瀬先生から講師のお話をいただき、しかもマロ先生(篠崎史紀氏)が芸術監督だというので「え〜! 私でいいの?!」って、最初は驚きました。しかし、川瀬先生の「先生や講師という枠を超えて一緒に勉強していったらいいじゃない」という言葉、それからマロ先生が「子どもたちの自主性を育てたい。技術の向上もだけれど人間形成の場にしたいんだ」とおっしゃっていたことに感銘を受け、参加を決めました。〈教える〉立場ではありますが、私自身も未知の世界でたくさんのことを学びたいと思っているんです。
楽器のレッスンは、個人で教室に習いに行くことが多いのですが、ジュニアオーケストラでは友達と演奏できるので、きっと刺激になると思います。それに、ステージで1回きりの本番に臨むあの緊張感……それも醍醐味。オケならではの楽しさをたくさん伝えていきたいです。

子どもたちのオーケストラを立ち上げることには以前から興味があったんです。今回の構想は〈渡りに船〉な話で、ぜひ協力したいと思いました。というのも、グランシアタができてから、一流の公演はたくさん観られるようになりましたが、地元の人材を育てる場としては活かされていないと感じていて。ここに視点を置いて動き始めたことに期待しています。
世の中、コミュニケーションが希薄になっています。オーケストラはこのコミュニケーションが必要で、自分の都合が優先されるとは限りません。そこで私は、子どもたちに協力してひとつのものを創り上げる喜びを感じてもらいたいのです。それを通して人生の友ができる可能性もあります。なにより第一線の音楽家と出会えるチャンス。私たちは、子どもたちが楽しく足を運べる場をつくっていきたいと考えています。
- ■ヴァイオリン
- 芸術監督・篠崎史紀
(NHK交響楽団第1コンサートマスター) - 音楽監督・川瀬麻由美
(大分県立芸術文化短期大学准教授) - 松田拓之
(NHK交響楽団) - 白井篤
(NHK交響楽団第2ヴァイオリン・フォアシュピーラー) - 藤沢友里
(大分交響楽団コンサートミストレス)
- ■ヴィオラ
- 小野富士
(NHK交響楽団フォアシュピーラー) - 内田博
(大分県立芸術文化短期大学非常勤講師)
- ■チェロ
- 桑田歩
(NHK交響楽団フォアシュピーラー) - 辛島慎一
(大分県立緑丘高等学校教諭)
- ■コントラバス
- 西山真二
(NHK交響楽団首席代行) - 時津りか
(大分県立芸術文化短期大学非常勤講師)
- ■フルート
- 甲斐雅之
(NHK交響楽団)
- ■オーボエ
- 高田喜夫
(大分中学校・大分高等学校音楽クラス教諭)
- ■クラリネット
- 松本健司
(NHK交響楽団) - 山口えつ子
(大分東明高等学校非常勤講師)
- ■ファゴット
- 加藤典靖
(東京ユニバーサルフィルハーモニー管弦楽団首席奏者)
- ■ホルン
- 日高剛
(NHK交響楽団) - 清水万敬
(大分県立芸術文化短期大学准教授)
- ■トランペット
- 竹内紀夫
(大分高等学校音楽クラス教諭))
- ■トロンボーン
- 池上亘
(NHK交響楽団)
- ■ティンパニー
(打楽器) - 松倉利之
(大分県立芸術文化短期大学教授)
- ?オーケストラをやってみたいと思う小学校3年生から20歳まで
※応募時年齢19歳まで。退団後はOBとしての活動参加もあります。 - ?オーケストラの一員としてすべての活動に積極的に参加し、指定された練習日に出席でき、家庭でも毎日練習ができる人。
- ?活動に保護者の理解と協力が得られること。
ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバス・フルート・オーボエ・クラリネット・ファゴット・ホルン・トランペット・トロンボーン・テューバ・ティンパニー(など打楽器)
平成21年4月4日(土)〜5日(日)
※第2回以降は随時開催しますので、お問い合わせください。
審査内容/面接、楽器の演奏
(現在学習中の曲を演奏してもらいます)
応募方法・締切/応募用紙と写真を郵送してください。
平成21年3月20日(金)必着
応募用紙ダウンロード http://www.emo.or.jp/notice/090320junior/junior.pdf
申込み・問合せ/(財)大分県文化スポーツ振興財団
iichikoグランシアタ ジュニア・オーケストラ事務局 TEL097-533-4004
- ■練 習
- ?月2回程度(原則として第2、第4日曜日)
iichiko総合文化センター リハーサル室ほか - ?演奏会前の強化練習
- ?合宿(夏休み中に夏季合宿を実施)
- ■演奏会
- ?定期演奏会 年1回 第1回定期演奏会は平成22年春開催
- ?特別演奏会・ミニコンサート・訪問コンサートなど
- ■団 費
- 月額5,000円(年間60,000円)、合宿費の一部