Vol.43 2009 WINTER

幕が開く前に|公演を楽しむための予習ページ

自立を前にしたふたり、22歳 。彼女たちが観てほしいもの。

OASIS アーティストプロデュース

 2008年11月初旬に行われた「OASISアーティストプロデュース 10th ANNIVERSARY「Progress―プログレス―」は、参加した5人の作家の個性があますところなく主張されていて多くのアートファンを楽しませてくれました。また、過去からの成長ぶりも、見どころのひとつでした。  さて、節目となる展示会も終わり、次はまた新たに、未来を期待したい若き才能が登場します。ともに大分県立芸術文化短期大学の専攻科2年生。卒業を控え、このアーティストプロデュースをひとつのターニングポイントに選んだふたりの作品を、どうぞお楽しみに。

焼かれた概念。焼かれた物に見える世界。OASIS アーティストプロデュース中村美波展 —コレクション—

 これまでに、グループ展の経験のある中村美波さん。大学での4年間、陶芸を学んできた彼女は、今度は個展で自分の空間をつくり、作品をみてもらいたいと思い、OASISアーティストプロデュースに応募したそうです。
  「前から応募しようか、どうしようか迷っていたんですが、大学最後の年で、教授も勧めてくれたので決めました」
  中村さんの作品は、陶芸とはいえ器ではなく、「焼く」というテーマのもとコンセプチュアルにつくられた、インスタレーションの形で表現されます。「焼物ってすごく面白い素材。はじめは土とか岩なのにいろんな形に変わっていって、最後には1000℃を超える温度で焼かれる。そのプロセスが面白いから、それを利用してもっと面白いものをつくってみようと思った」
  最もストレートに表したのが、「様変コレクション」という作品。立方体の磁器の上にボルトやビー玉、石を置いて一緒に火に入れ、焼き上がったものをいくつも並べている。「焼いてみたらどうなるのかなぁと思って!」と悪戯っぽい笑顔で話してくれた中村さんだが、何を焼いたのか想像するだけで楽しい。焼かれた物体の姿は図ってそうなったような焼き上がりで、虜になりそうな面白さがあります。
  他に、小さくてもろくて純真無垢なものをイメージしたもの、それから「私たちの身の周りには、意外にも多くの石が使われている」ということを伝えるものなど、一つひとつの作品ごとに意味づけして制作をするのが中村さんのスタイル。彼女は、大学に入って先生や友人の考え方を知り、自分の考え方にも変化が起こって、日常の中に「これ、面白いんじゃない?!」という発見ができるようになったといいます。きっかけは本だったり、道に落ちてる石ころだったり……。散歩をしながら写真を撮っては妄想に妄想を重ね、創っていく。見た目が派手ではないけれど、考えに考えて創っていく。そんな中村さんには、忘れられない高校の先生の言葉があるそうです。
  〈やってやれないことはない。やらずにできるわけがない〉
  「OASISアーティストプロデュースに挑戦したのも、自分への挑戦。いろんな人に見てもらって、どんな反応が返ってくるかわからないけれど、大学4年の節目に、私は焼物をやってきたんだという集大成を観てもらいたいです」
  一生、アーティストでありつづけたいという中村さんの節目となる個展。作品のお披露目は09年3月。彼女の「コレクション」を通して、どんな焼物の世界が見えるのでしょうか?

中村美波展
―コレクション―
日時 2009年3月6日(金)〜15日(日)
10:00〜19:00
※9日(月)は休館日。最終日は17:00まで
会場 iichiko Space Be 県民ギャラリー
料金 入場無料
主催・お問い合せ/ (財)大分県文化スポーツ振興財団 TEL097-533-4004

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