Vol.42 2008 AUTUMN

emo presents!世界の才能に接近

長唄三味線
杵屋五三郎

きねや・ごさぶろう/1918年、東京・本郷出身。1933年に初世杵屋五三郎に入門。1936年に杵屋五三郎の名を許される。1974年には、文化庁芸術祭大賞受賞。1978年に三世杵屋五三郎を襲名した。1989年に重要無形文化財保持者(長唄三味線)に認定。2005年、日本芸術院会員。

日本舞踊
花柳寿南海

はなやぎ・としなみ/1924年、東京・大久保出身。1927年に踊りを始め、1932年に初舞台を踏む。1946年、二世花柳壽輔に正式に入門、内弟子となる。1985年、(社)日本舞踊協会理事に就任。2004年に重要無形文化財保持者(歌舞伎舞踊)に認定。2005年、文化功労者。

伝統芸能の技と技が融合
人間国宝の二人が魅せる長唄舞踊

長唄三味線と日本舞踊、二つの芸が表現する雅な世界。
人間国宝の杵屋五三郎と花柳寿南海が大分の舞台で共演!

 美しい音を出すことが困難とされる三味線を、絶妙な技で弾きこなす杵屋五三郎さん。そして、積み上げてきた確かな技と豊かな表現力から観客を魅了する花柳寿南海さん。人間国宝として、それぞれの世界で高峰を極めた二人が大分の舞台で共演する。伝統芸能の世界について、そして大分公演についての意気込みを聞いてきました。

― 舞台や稽古では体力を使うと思いますが、健康面で気を付けていることはありますか?

杵屋(以下、杵)特別なことはしていませんが、あまり食べ過ぎないようにはしています。お腹が出てしまうと三味線を弾くときに座りづらいので。

― それぞれの芸の厳しさはどんな点だと思われますか?

杵 三味線は、清元、常磐津、長唄など種類によってそれぞれ太さや胴の大きさ、重さが全然違います。そのため、その三味線に合わせて自分の体をつくっていかなければなりません。どこをどうしろと口で説明できるものではなく、弾きながら体で覚えていくものです。また、ただ覚えればいいという訳でもなく、お芝居の場合だと、同じ曲でも役者ごとにその人の踊りがあります。役者の求めるものを素早く捉えて合わせていかなければならないのが、大変なところだと思います。

花柳(以下、花)伝統を守らなければいけませんから、厳しくて当然です。けれど、ただ守るだけではなく、新しいものを創作していくことも大事です。古典と創作的なものは両輪だと思っています。新しいものをやることで古いものの大切さを理解することができるんです。

― 古典をやりつつ新しいことにも挑戦される、そのエネルギーの源は何でしょうか?

花 私の場合、日常がそういったことに繋がっているのだと思います。私たちは、楽器を弾くのではなく、自分自身が楽器のようなものですので。

― 本当に厳しい気持ちで芸に臨まれていると思いますが、終わった後、良かったと満足されることはあるのでしょうか?

杵 その時の出来で言えば、たとえ自分は満足したとしても、踊りの方にはちょっと、と思われているかもしれません。最後まできちんと弾き通せた時に、今日も健康で弾くことが出来て良かったなとは思います。

花 良かったと満足するのは一生に一回あればいい方かもしれません。

― 次世代へ継承するにあたって、お弟子さんや若い方へ伝えていることはありますか?

花 ちゃんと地に足が着いた仕事や芸を、自分もですが、弟子たちにもできるようになってほしい、と。ただ、今の人たちは色々なことを見聞きする機会が私たちよりも多いので、私たちとは違ったことを考えていたりします。伝統芸能であってもそれぞれの時代で生き続けていくために、若い方の考えも大切にしていきたいと思っています。

杵 私は、自分が健康でいることが大事だということです。健康でなかったら何もできない。寝ることと、食べ過ぎないこと(笑)、それから無理はしないことですね。

― お二人はこれまでに何度も共演をされているそうですね。

杵 最初の共演がいつだったか覚えていないくらい前から、何度も共演させて頂いています。大先輩ですから、おっしゃる通りにという感じですね。

花 いえいえ、こちらこそおっしゃる通りに、という感じですよ(笑)。私の師匠は演奏家に注文をつけず、曲を大事にする方でした。演奏家の方が上手な訳ですから、私はそれについていくだけです。

― 今回は大分での公演になりますが、地方での公演で感じることはありますか?

花 移動芸術祭などで全国色々まわりましたが、やっぱりその土地によって受け取り方が違うところもあります。喜んで頂けた時は嬉しいですね。

杵 演奏面で言えば、どこに行ってもそんなに違いはありません。特別なことがない限り、同じ曲を弾くなら場所によって変わったりはしません。曲を大切にしている方とやる場合は、北海道でも九州でも見事に合わせて頂けるのがありがたいですね。

― お二人とも大分で公演された経験があるそうですが、大分の印象はいかがでしたか?

杵 とても明るいところですよね。海があるからでしょうか。

花 おそらく土地柄なんでしょうね。お魚もお肉も美味しいところですよね。今回NHKアナウンサーの葛西さんと三人で対談をするんですが、葛西さんが美味しいものを食べましょうね、とおっしゃっていました(笑)。

― 技の上演だけでなく、お話も伺えるというのはとても貴重ですね。

花 昔は芸をやる人間はあまりしゃべるなと言われたものですが、今はしゃべらないと通じないようなところもありますから。でも、やっぱり観て頂いたり、感じて頂くことの方が大切だと思います。色々な方が観てくだされば嬉しいですね。

 幾度も共演を重ね、息の合った人間国宝のお二人が技を披露する貴重な舞台。ぜひこの機会に、日本が誇る二つの伝統芸能を体感してみてはいかがでしょうか。

人間国宝〜その心と技〜 第2回 杵屋五三郎&花柳寿南海
日時 2008年10月11日(土) 13:00開場 13:30開演
会場 iichiko 音の泉ホール
料金 全席指定4,000円 学生1,500円(当日指定)
出演 杵屋五三郎、 花柳寿南海 ほか
演目 越後獅子、四季の山姥、勧進帳
鼎談 杵屋五三郎、花柳寿南海、葛西聖司
助成 財団法人 地域創造
後援 OAB大分朝日放送
公演に関するお問い合せ/
(財)大分県文化スポーツ振興財団 TEL097-533-4004

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