Vol.42 2008 AUTUMN

OITA no MIRAI 大分新進芸術家紹介

役者
梅沢扇乃助
Umezawa Sennosuke

華麗な舞いで観客を魅了する
女性よりも女性らしい女形の世界

 大衆演劇・梅沢武生劇団で女形として活躍中の梅沢扇乃助さん。劇団で精力的に活動しながら、日本舞踊の稽古や女性らしい仕草の研究など日々勉強を重ね、女形として成長を遂げている劇団期待の若手役者である。
  中学生の時、偶然テレビで大衆演劇の特集番組を見て、画面に映る華やかな世界に魅せられた。その目で実際に確かめたいという思いから、別府の大衆劇場『ヤングセンター』で初めて舞台を目にした彼は、女形を見て衝撃を受けたという。「男性が顔を白く塗って、美しい衣装に身を包む姿はまるで別世界の人のようでした」。そして観客が皆、劇場から笑顔で帰っていく様子を見て自分も人に喜びや元気を与えられる存在になりたいと思い、この世界へ入ることを決意した。
  その後、様々な劇団の舞台を観てまわり、この梅沢武生劇団と出会う。「座長はお芝居が本当に上手で、舞台を観た時、違和感なくスッと自分の中に入ってきたんです」。高校生の時に面接を受けるも、劇団側から高校を卒業するよう勧められ、日本舞踊を習いながら地元の高校に通い続けた。そして高校卒業後、上京。念願の梅沢武生劇団への入団を果たし、晴れて女形に。劇団では座長をはじめ、テレビや歌など女形以外の多方面でも活躍中の副座長・梅沢富美男氏から指導を受け、日々稽古に励んでいる。「日本舞踊の基礎はできていても、劇団の公演は会場が大きいので、踊り方一つとっても違ってきます。手先だけで踊らず、3階席まで届くような踊りや所作を心がけるよう常に言われています。女形は、全く気を抜くところがないですし、突き詰めていくと終わりのない世界。お二人から教えて頂くこと全てを吸収していきたいです」
  東京を拠点に活躍中の彼だが、故郷の大分県速見郡日出町などで老健施設への慰問舞踊も行っている。「一人でショーを行うので、自分で計画や準備をしたりと、劇団の公演とはまた違った楽しさがあります。大きな劇場とは違って間近でお客さんの笑顔を見られることが嬉しいです」。公演で全国各地へ足を運んでいるが、やはり故郷が一番だという。「色々な思い出が詰まっている土地ですし、違う場所で海を見ても日出町の海岸線や別府湾の風景を思い出します。故郷は常に自分を支えてくれる存在です」。
  次なる夢について、「100人いたら98人はひきつけられる魅力のある役者になりたいですね。ジャンルは違いますが、歌舞伎役者の坂東玉三郎さんのような女形になるのが目標です」と真剣な眼差しで語る表情からは、この道を突き詰めていくという決意が感じられる。故郷、大分はもちろん全国各地で観客を魅了する女形・梅沢扇乃助。彼のさらなる活躍に期待したい。

踊る曲を考えるために、演歌のみを聴いている。複数の人がいる部屋で集中したい時に聴いたり、化粧をしながら聴くことも。

現在、三味線を勉強中という彼。これは津軽三味線の名匠・高橋竹山の生涯が綴られた本。常に鞄に入れ、時間を見つけて読んでいるそうだ。

ノートには、一人で行うショーの構成や、劇団の役の演技についてなどを書き留めるという、言わばネタ帳。アイデアが詰まった大切なものだ。缶には飴やチョコ、薬などが入っている。甘いものを食べたくなった時につまんだり、忙しい時に食事代わりに口にしている。ちょっと色っぽいミニーマウスの絵柄は女形の彼ならでは。

端整で色白な素顔もさながら、女形に扮したときはこの美しさ!

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