Vol.41 2008 SUMMER

幕が開く前に|公演を楽しむための予習ページ

体が「踊りたい」というのなら……

大分朝日放送開局15周年記念 iichiko presents
スカ・クバーノ!

 キューバやジャマイカをルーツとするカリブ海音楽のテイストに、ロンドンのスカ・バンドが磨きをかけた、カリビアン・スカ・バンド、それが「スカ・クバーノ」です。さあ、そのバンドの中でサックスの存在感を見せつける女性メンバーがいます。それが、ただ一人の日本人メンバーでもあるメグミ・メサクさん。彼女を通して見るスカ・クバーノ、彼女を通して聴くカリビアン・スカの魅力。国境も、定義も、セオリーも、「まあまあ固いこと言わずに」と気持ちよく越えていく、そんな音楽ならばこそ、体の細胞にも届いてしまいそう。体が踊りたいというのなら、遠慮なく、客席でダンスしてください。

インタビュー|サックス奏者 メグミ・メサク

革命がなければもっと早くに生まれていた

 カリブに浮かぶ二つの島、キューバとジャマイカの音楽が出会い、互いに影響しあって、その背景にはアメリカやイギリスなどのミュージシャンたちが深く関わっているという、聞けば複雑なお話。ことに、キューバ革命以後は隣国でありながら断絶されたままだった両国。人の行き来が制限されると、物も、そして音楽さえも、その流れが断ち切れてしまいます。1959年に起こったキューバ革命以降、隣のジャマイカではスカが大流行したというのに、その影響はほとんどキューバに届かなかったというのです。でも、そのジャマイカのスカを生んだミュージシャンはキューバ音楽からとても影響を受けていたのだそうです。  2000年にメンバーとしてキューバに渡ったメグミさん。スカ・クバーノ生誕の土地ともいえるキューバ南部の都市サンチアゴでは、いろんな人との出会いがあったといいます。「面白かったのは、私の出会ったキューバのミュージシャンたちは、隣の国のジャマイカのスカを知らなかったの。信じられなかったけど、これが革命の影響なんだってわかった。そこで、キューバのミュージシャン達にスカのリズムを教え、またキューバのミュージシャンからキューバの音楽のスピリットを教えてもらいました。イギリス人や日本人の私たちが、キューバとジャマイカの音楽交流の仲立ちになったことってとっても面白いと思った」。つまりここでキューバとジャマイカ、二つの文化、二つの音楽が再び融合を始めたわけです。

ところで、スカ・クバーノって?

 キューバミュージックの魅力を世界中に知らしめたブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ。そのスカ版ともいえるのがこのバンド。メンバーは「トップキャッツ」のリーダーでもあるナッティー・ボウ、キューバ出身のカリスマギタリスト(ヘスース・クティーノ)に強烈な音でドライブ感を出す超ベテランドラマー(ルーベン・ホワイト)、そして、伝説のトランペッター(エディ・タンタン・ソーントン)と緊張感溢れるソロを繰り出す日本人サックスプレーヤー(メグミ・メサク)。つまり、ロンドンのスカバンド、トップキャッツが描いたキューバン・スカをキューバやジャマイカのミュージシャンたちが加わって演奏する、それがスカ・クバーノなのです。でもスカばかりではありません。そこにはマンボも、ルンバもカリプソも、もちろんレゲエやソンも、気持ちよく溶け合っています。 「スカってホーンセクションやギターから奏でるスキャッ、スキャッ、って音に由来しているんです。何だか温かくって、温もりがあって、心臓の鼓動のように安心感のあるリズム。まるでお母さんのお腹の中にいる胎児になったような気持ち良さがその魅力。レゲエの神様っていわれているボブ・マーリィも以前スカをやってたの。メンバーのタンタンは、ビートルズやジミ・ヘンドリックスと共演したことのあるミュージシャンなの」

そのスカと巡り会ったワケ

 9歳からサックスを吹いていたメグミさん。じつはメグミ・メサクは本名。福島県相馬市生まれで、メサクは「目迫」と書き、地元には目迫の名前がついた有名な観音様があるそうです。福島生まれの父、鹿児島生まれの母、「宿敵、相馬と薩摩の間に生まれました」と笑うメグミさん。「ブラスバンドに入っていたの。そして、初めて見たサクソフォーンに一目惚れした。フルートにもちょっとした憧れはあったけど、私のキャラじゃなかったのね(笑)。そんな私に大きな影響を与えてくれたのが伯父。プロのトランペッターだった伯父からラテンやボサノバ、もうありとあらゆるテープをもらった。やがて高校に入り、部活にも興味なくなると、スカが聞けるクラブスカに行って、好きなだけ聞いていた。そのうちクラブでDJやるようになってからは貴重な音楽をいっぱい聴く機会にも恵まれました。日本にスカを紹介したトロージャンズのリーダー、ギャズ・メイオールと17歳で知り合い、20歳になってたかなぁ、イギリスに行った時に再会。私自身がトロージャンズのメンバーに加わったのは、日本公演の時、交通事故で演奏できなくなったメンバーに代わってツアーに参加したのがきっかけなの」。
同じメンバーだったボーカルのナッティー・ボウと出会い、ロンドンでワイルドなスカ・グループ「トップキャッツ」を結成。その後は世界的ミュージシャンたちとも共演。現在は、スカ・クバーノの活動以外でも、「メグミ・プロジェクト」としてコロンビア(ハープ)やベネズエラ(パーカッション)のミュージシャンたちと新たな活動を展開しています。

ノーベル平和賞のコンサートにも出演

 スカ・クバーノの陽気なライブは各地で様々な反応を引き出すのだそうです。「土地柄や人柄っていうのかな、お国柄みたいなものが観客の皆さんにも出てきて楽しいですよ。あっという間に体を動かしだす人たちもいれば、とてもシャイな人たちもいる。ある時、ノーベル平和賞の授賞式後の打ち上げパーティに招待されたんです。そこはノルウェー。スカなんてあまり馴染みがありませんよね。授賞式後の厳粛な雰囲気の中でのライブは初めちょっと場違いのような気もしたの。演奏が始まっても固い雰囲気のままでした。演奏を続けていくうちに、『なんで踊らないのかなぁ〜』って不思議に思っていました。そして演奏終了後、そのノルウェーの皇太子さまが挨拶にみえて、『本当にありがとう』っていうんです。それってお世辞かなって思ったんです、皆さんのあの反応でしたから。ところが、その方『みんな、すっごく楽しかった!!』って言ったんですね。つまり、この時初めて彼らはほんとは楽しかったんだって気づいたんです。踊って騒ぐだけが楽しい表現じゃないってことに気づきました。ああ見えても、心の中、体の中では熱い人たちなんだって」。

スカで演奏されるあの名曲が大分公演で

 8歳の時にリコーダーの魅力を知ったというメグミさん。「リコーダーの楽しさを教えてくれたのが音楽の吉田先生でした。そして、そのリコーダーの練習曲が滝廉太郎作曲の『荒城の月』や『花』でした。滝廉太郎って、大分ととても縁があるんですってね。今回はこの曲をぜひやりたいと思って、加えたんです。リコーダーって、小学校で一度は手にしそうな楽器でしょ?」。 メグミさんはロンドンの自宅でも6歳になる娘のメガミちゃんの友達にリコーダーを教えているのだそうです。「リコーダーは本当に素敵な楽器で、私も大好きです。最近ではイギリスの小学校でも教えるようになりました。皆で演奏すると、また楽しさも違う」。  「スカ・クバーノのコンサートは見ているだけじゃもったいない」とメグミさん。「体が動いてきたら立ち上がって動かしてください。もちろん、客席で踊ってくれるのも大歓迎です。嫌なことは皆このコンサートで落としてしまって、楽しい気持ちで帰ってほしい。それが私たちのコンサート」。

サックス奏者 メグミ・メサク

 アルト&バリトンサックス奏者。作曲家。福島県相馬市で生まれ、その後は千葉へ。9才からサックスを始め、小中学生はブラスバンドに参加し、20才の時に渡英。現在、スカ・クバーノ、トップキャッツ、トロージャンズのメンバーとして活動中.世界的なミュージシャンとも数多くのセッションを行う。

大分朝日放送開局15周年記念
iichiko presents
スカ・クバーノ!
日時 2008年9月19日(金) 18:30開場 19:00開演
会場 iichiko 音の泉ホール
出演 西本智実(指揮)、村治奏一(ギター)
料金 S席4,000円 A席3,000円  B席2,000円
共催 OAB大分朝日放送
主催・お問い合せ/ (財)大分県文化スポーツ振興財団 TEL097-533-4004

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