Vol.39 2008 WINTER

幕が開く前に|公演を楽しむための予習ページ

『文楽』をもっと身近に感じてほしい!

文楽レクチャー「人形遣い」

 語り手の太夫、三味線弾き、人形遣い。三つが三位一体となって創り出される総合芸術が『文楽』です。この春、大分公演に人形遣いの一人として出演される吉田玉翔さん。本公演を前に行われる、人形遣いの文楽レクチャー講師としても大分を訪れる予定です。大阪で公演中の玉翔さんを、国立文楽劇場の楽屋へ訪ね、文楽の魅力や人形遣いの難しさなどをうかがいました。

舞台の表と裏。そのギャップに感動!

 「僕の場合、母がこの世界へのきっかけをつくってくれたんです」
  高校時代は、野球部に所属し、スポーツに熱中するごく普通の少年だったという玉翔さん。「文楽」の道へ進むことになったのは、06年に亡くなった人形遣いの第一人者、吉田玉男師匠(人間国宝)のファンであったお母さまの影響によるところが大きいとか。高校生だったある日、お母さまと一緒に大阪・国立文楽劇場へ文楽を観に訪れた玉翔さんは、楽屋で玉男師匠に会い、感動します。
  「楽屋では、ごく普通の優しいおじいちゃん。それが、ひとたび舞台に上がれば、二枚目の若い男を演じたり、荒武者の人形を遣えばその姿に見える。ギャップに驚き、同時にカッコイイと思いましたね」
  高校卒業と同時に吉田玉男師匠に弟子入り、人形遣いへの道を歩むことになります。

山田晃子、準・メルクル

わずかな首の動きや、ほんのちょっとした仕種で万感の思いを伝える……。観るものを魅了し、それが人形であることを忘れさせるほど繊細な動きや演技は、思わずため息がもれるほど。

足十年、左十年。一生修行です。

 弟子入りと言ってもそこは古典芸能の世界。師匠が手取り足取り教えてくれるわけでも、もちろんマニュアルがあるわけでもありません。
  「とにかく見て盗む。それしかない。厳しい世界ですよ」
  人形遣いには、頭と右手を操る「主遣い」と、左手を操る「左遣い」、両足を担当する「足遣い」の三つの役割があります。この三人が心をひとつにしてはじめて人形は命を得、人間以上に人間らしく動くことができるのです。
  「昔から、足十年、左十年と言われるくらい修行は長く厳しいものですが、最近はもっと長くかかります。もちろん、主遣いになってからもさらに精進が必要です。古典芸能はどれも同じでしょうが、一生修行ですね」

人形遣いの難しさと楽しさをぜひ、ご体験下さい!

 1月のレクチャーでは、実際に文楽の人形を使って、構造や遣い方、それぞれの役割などをわかりやすく解説してくれます。
  「人形遣いには、”頭“と呼ばれるサインがあり、主遣いの出す”頭“を瞬時に読み取って、左遣いや足遣いが動いているんです。公演前の解説では、詳しくできない話もたくさん盛り込みます」
  レクチャーの後には、実際に人形遣いにも挑戦してもらい、見るとやるとでは大違いであることを体験してもらう予定とか。
  「文楽というと、とっつきにくいとか、敷居が高いイメージがありますが、やってるのは、僕らみたいな、いわば普通の兄ちゃんだったりするわけです(笑)。そういうことも含め、レクチャーで文楽をもっと身近なものに感じていただければ、何より嬉しいですね」
  人形遣いの方々の素顔に触れ、動きを間近で観たり、体験したり。文楽が、今まで以上に身近なものになり、これまでとはまたひと味違った楽しみ方もできるかもしれませんね。

「僕は高知県の土佐清水市生まれなので、大分はフェリーですぐそこ。子どもの頃から家族旅行で何度も訪れた親しみのある場所なんです」

吉田玉翔

よしだ・たましょう 昭和50年(1975年)、高知県土佐清水市生まれ。本名・藤田圭。18歳で重要無形文化財保持者の吉田玉男さんに弟子入り。人形遣いとして舞台で活躍する傍ら、ワークショップや狂言とのコラボレーション公演など、文楽振興のための活動も積極的に行っている。

人形浄瑠璃 文楽
日時 2008年3月7日(金)
昼の部 13:00開場 13:30開演
夜の部 17:30開場 18:00開演
会場 iichiko 音の泉ホール
演目 昼の部
 「近頃河原の逢引」 四条河原の段・堀川猿回しの段
 「義経千本桜」道行初音旅
夜の部
 「伊達娘恋緋鹿子」火の見櫓の段
 「生写朝顔話」明石船別れの段・宿屋の段・大井川の段
料金 A席4,000円 B席3,000円
文楽レクチャー「人形遣い」
日時
会場
中津会場/2008年1月27日(日)13:00〜14:30 場所:中津リル・ドリーム
大分会場/2008年1月27日(日)10:30〜12:00 場所:iichiko総合文化センター
津久見会場/2008年1月28日(月)10:30〜12:00 場所:津久見市民会館
講師 吉田玉佳、吉田玉翔、吉田玉誉(人形浄瑠璃文楽座)
参加料 1,000円
※レクチャー当日は、お客様と記念撮影を行う予定ですのでカメラ等をご持参下さい。
公演に関するお問い合せ/(財)大分県文化スポーツ振興財団 TEL097-533-4004

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