Vol.38 2007 AUTUMN

特集 演劇

Interview

役者の人生が反映される舞台
生ならではの感動、それが演劇の魅力

俳優・ナレーター 石丸謙二郎 いしまる・けんじろう

profile 1953年生まれ、大分県出身。1978年つかこうへい事務所「いつも心に太陽を」でデビュー。最近の主な出演作品は、TV「その男、副署長・京都河原町署事件ファイル」「仮面ライダー・電王」、舞台 ブロードウェイミュージカル「フロッグとトード」、映画「春の雪」など。TV「世界の車窓から」のナレーションは21年目に突入。

3人芝居に求められるのは
役者としての体力

 2007年12月14日、iichiko音の泉ホールにて、映画『愛を乞うひと』などの作品で知られる脚本家、鄭義信(チョン・ウィシン)さんの最新作『僕と彼と娘のいる場所』が公演されます。鄭さんが脚本と演出を手掛け、石丸謙二郎さん、須藤理彩さん、和田聰宏さんが出演する3人芝居。出演者が大勢いれば色々な場面を作ることができる舞台も、人数が少なければ少ないほど場面が限定されるので難しくなります。また、出演者が少なければ一人一人の出番が多くなるため、役者には相当な体力が必要となります。本作が3人芝居初出演となる石丸さんは「稽古を続けていく体力はもちろんですが、メッセージ性のある、心に訴える芝居を作り上げるためには、共演者や演出家と闘うための体力も必要。闘わないと話が膨らまないんです」とこれから稽古に入る意気込みを語ってくれました。
  本作のオファーがあった時、石丸さんは「久々に役者が闘える現場になると感じた」とか。「今は役者が自分の劇団以外の舞台にも出演するので、どこの劇団の人か分かりづらいですよね。他の劇団と交流を持つのはいいことですが、一方で自分を裸にして役者として闘える場が減ってしまったようにも感じます。本作をプロデュースするトム・プロジェクトは以前から役者が闘えるような芝居を作っていたので、今回声を掛けて頂いて嬉しく思っています」。

役作りをするのではなく
常に石丸謙二郎役を演じる

 石丸さんが演劇と最初に出会ったのは高校時代の演劇部。当時はプロを目指すという意識はなかったそうですが、その後演出家のつかこうへいさんに声をかけられ、舞台に出演したのがきっかけで演劇の世界へはまっていったとのこと。「つかこうへいさんの作る演劇は厳しかったけれど、とても面白かったんです。その頃から役者を本格的にやってみようと思い始めました」。
  現在、舞台はもちろんテレビや映画などでも活躍している石丸さんですが、舞台ならではの魅力について次のように語ってくれました。「やはり”生“であるということ。ライブで観るからこその面白さってあるんですよ。演じる側として言えば、映像の世界ではカメラの向こうに客が見える訳ではないけど、舞台は目の前に観客がいて実際に客の目を見ながら語りかけて、反応が返ってくるんです」。
  コミカルな役からシリアスな役まで幅広い役柄を見事に演じている石丸さん。常に役作りという感覚はなく、自身をフラットな状態に置いて稽古に入ってから作り上げていくのだそうです。「この役だったら自分はどうするだろうと考えるのではなく、自分だったらこの役の人はどうするだろうと考えます。石丸謙二郎が石丸謙二郎を演じる、感覚的にはどんな役でも石丸謙二郎役だと思っています」。

互いの人生を知り合うことで
生み出される発想

 本作の具体的なストーリーはこれから稽古をしていく中で作り上げていくとのこと。「鄭さんは、人の面白さを感じながら話を書き上げる方。台本ありきで演出するのではなく、3人の役者と鄭さんが互いの人生を語り合い、知り合うことを通じて色々な発想が生まれ、作り上げていくという、役者の人生もフィードバックされていく作り方なんです」。
  故郷大分での公演は今回が2回目という石丸さん。「大分では7〜8年前に加藤健一事務所の『ラン・フォー・ユア・ワイフ』という舞台で一度公演をしました。もともと芝居に対する反応は場所によって違いますが、大分の観客は特に反応が違って、とてもいい意味で深く考えすぎずに楽しんでくれていたように思います。今回、こんな芝居をやってみたかった、そう思える芝居に石丸謙二郎という役者がやっと巡り合うことができました。大分の皆さんもぜひ楽しみにしていてください」。
  演劇を通して役者と演出家が描き出す世界。ライブだからこそ得られる感動が、そこにあります。この機会に、演劇ならではの魅力を大分の劇場で体感してみてはいかがでしょうか。

シアターワンダーランド
ぴあMOOK ぴあ株式会社

 これを見れば演劇のことがすべて分かるスグレモノ! いまをときめく舞台俳優のインタビューから演出家のレビュー、さらには演劇史や活躍中の劇団リストまで網羅していて、初心者も上級者も楽しめる。「いま、最もおもしろい演劇シーン」を要チェック。

パルコ劇場30周年記念の本
プロデュース!

株式会社パルコ エンタテインメント事業局

 1973年、渋谷に誕生して以来、文化発信の中枢を担ってきたパルコ劇場の30周年記念本。その歴史の中で劇場をにぎわせてきた演出家たちの貴重なロングインタビューを収録、しかも写真は撮りおろしという豪華版。別冊で30年間の舞台記録がついた永久保存版だ。

愛を乞うひと
監督/平山秀幸 脚色/鄭義信 発売元/角川映画
販売元/東宝 価格/5,040円

 鄭義信の作品を観るなら脚本や脚色を手がけた映画のDVDをぜひ。『月はどっちに出ている』(93年)、『レディ・ジョーカー』(04年)、『血と骨』(04年)……なかでも新境地を拓いたと言われるのがこれ。親子の絆とは何か、深層心理に踏み込んで描いた究極の作品。

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