Vol.38 2007 AUTUMN

幕が開く前に|公演を楽しむための予習ページ

フランス色に染まる日

準・メルクル指揮 フランス国立リヨン管弦楽団

トリコロールの伝統を奏でる
由緒正しき管弦楽団

 1988年の開館以来、iichikoグランシアタにはウィーン・フィルをはじめ世界的なオーケストラが毎年のように来演し、数々の名演奏を繰り広げてきました。そのいずれもが各国を代表する一流のオーケストラでしたが、今年はいよいよフランスのオーケストラが初めて登場します。
 やってくるのはフランス第二の都市、リヨンに本拠を置くフランス国立リヨン管弦楽団(以下、リヨン管)です。リヨン管は、前身の交響楽協会の時代を合わせると既に100年以上の歴史を持ち、ルイ・フレモー、セルジュ・ボド、エマヌエル・クリヴィヌといった歴代の音楽監督、あるいはエルネスト・アンセルメ、シャルル・ミュンシュ、アンドレ・クリュイタンスなどの往年の巨匠たちとの共演を通して、フランス音楽演奏の伝統を育み、培ってきました。その響きからは温かみの中に絶妙な軽やかさを含んだ独特な色合いが浮かび上がり、ドイツ系やアメリカの楽団とは明らかに異なる趣きをたたえています。一方でリヨン管は伝統に固執するだけでなく、近年はアメリカ出身のデイヴィッド・ロバートソンや、日系ドイツ人の準・メルクルといった国際的に活躍する気鋭の指揮者を音楽監督に迎え、楽団の歴史に新たな彩りを加えようとしています。

山田晃子、準・メルクル

ドビュッシー、そして
メンデルスゾーンの調べに酔う

 そんなリヨン管の今回の大分公演のプログラムには、極め付けのドビュッシー作品が。「音楽家でなかったら何になりたかったか?」と聞かれ、「船乗り」と答えたほど海を愛していたドビュッシーが1905年に完成した交響詩〈海〉は、海の雄大さや美しさ、しなやかさを新鮮なリズムとハーモニー、そして精妙な管弦楽の扱いにより描きあげた彼の代表作です。ちなみに、〈海〉の初版の楽譜の表紙には葛飾北斎の有名な版画、〈神奈川沖浪裏〉の意匠があしらわれていました。ですから、この版画のイメージを心に置いて〈海〉に接すれば、更に親しみやすくなるのかもしれませんが、私たち大分県人は身近にある海を想像してみるのも一興でしょう。また〈夜想曲〉からの「雲」と「祭」も、音楽の静と動の魅力に溢れたもので、やはり聴き手のイメージをかき立てるニュアンスに富んだ作品です。音楽が持つニュアンスを感じてみたい、という方には、本場中の本場であるリヨン管の響きでドビュッシーを体験できるのは非常に素晴らしいことなのではないでしょうか。
 さて、リヨン管の大分公演の日、11月4日はちょうどメンデルスゾーンの没後160年の記念日にあたります。そこで今回の公演では、スコットランドの景勝地を描いた序曲〈フィンガルの洞窟〉と、名作中の名作〈ヴァイオリン協奏曲〉というメンデルスゾーンの代表作2曲が演奏されます。そして後者の独奏にはロン=ティボー国際コンクールを史上最年少で制し、数々のコンクールでの入賞歴を持つ期待の若手、山田晃子を迎えます。ドイツ音楽も得意な準・メルクルがフランスの楽団からどういう響きを引き出すのか、これもまた聴きどころの一つです。

iichiko presents
準・メルクル指揮 フランス国立リヨン管弦楽団
日時 2007年11月4日(日) 13:30開場 14:00開演
会場 iichiko グランシアタ
出演 準・メルクル(指揮)、山田晃子(ヴァイオリン)
演目 メンデルスゾーン/
序曲「フィンガルの洞窟」op.26、ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
ドビュッシー/
夜想曲より「雲」「祭」、交響詩「海」
料金 GS席8,500円 S席7,000円 A席6,000円 
B席4,500円 学生2,000円(当日指定)
公演に関するお問い合せ/(財)大分県文化スポーツ振興財団 TEL097-533-4004

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