Vol.36 2007 SPRING

(財)大分県文化スポーツ振興財団 理事長
立花 旦子
Tachibana Asako

文化には底力があります。
県民のみなさんの楽しみとなり、
活力となるプログラムを
組み立てていきたいです。

 iichiko総合文化センターは、2006年に指定管理者制度を導入し、世界的に高レベルな舞台の招聘、また県民とより密接にかかわった試みを進めている。折しも新理事長に就任した立花旦子氏は、弁護士として活躍する傍ら、「芸術・文化は私の暮らしに浸透した生活の一部」と語る根っからの芸術愛好家。そんな新理事長に、財団の現状と展望をうかがった。

― 理事長に就任されてから1年が過ぎましたが、ご感想をお聞かせください。

 もともと芸術鑑賞が大好きで、「観客」としてたくさんの公演を観たり聴いたりしてきました。その私が「理事長」という大役をいただいて、まずは運営側の大変さを痛感しています。企画の発案と実行、それに舞台ひとつ選ぶ作業をとっても膨大なエネルギーが必要なんだと。

― そもそも、理事長をお引き受けになった理由は?

 突然お話をいただいたので戸惑いもしましたが、芸術・文化に触れる機会が増えること、そして物足りなさを感じていた部分について意見が言えることの2点に期待を持ってお受けしました。

― 「物足りなさ」というと……?

 財団の設立後、iichiko総合文化センターで年間を通じて様々なジャンルの芸術を享受できるようになりました。以前は文化会館や芸術会館でバラバラに行われていたものに統一性が生まれたと言えるでしょう。ですが、例えば地元出身の演奏家に登場してもらうなど、大分県民と関係ある催しがありませんでした。そこで最近は、レクチャーやワークショップ等「参加型」の催しや地方のホールとの連携を進め、また若手の育成にも力を入れています。

― そうしたプログラムを組み立てていく際、スタッフの専門性が問われる時代になっている気がします。

 そうですね。昨年、指定管理者制度を導入し、世界的にレベルの高い舞台もたくさん行なっています。いいプログラムの選定には、スタッフ個々人のスキルが必要です。全員のスキルを結集して、ひとつ明快なコンセプトのもとで年間のスケジュールを組んでいけたら……さらに言えば、将来、専門知識のある総合プロデューサーの存在があったら理想的だと思います。

― 観る側として魅力的な公演は多いです。最近はダンスなどの新しいジャンルの公演もありますし。さらに、誰もが気軽にホールに足を運べるようなプログラムの工夫も必要ですよね。

 人それぞれ興味は違います。様々なものを経験したうえで、自分の趣味にあうものを、自分で探していただくことが大切だと思うんです。私はとても音楽が好きですが、それも小学生の時、担任の先生がよく演奏会に連れて行ってくれた楽しい思い出がきっかけなんです。我々としては、人と芸術・文化の出会いの場を提供するのも大事な役割だと思っています。

― 特に、これからは団塊の世代に向けての発信が大切なのでは?

 彼らは仕事に打ち込んできた方々です。この世代の人たちは、実は時間ができたら何かをやりたいという意欲に満ちているんですよね。例えば、財団のボランティアに参加していただくのもいいかもしれません。この年代が主力なんですよ。

― それにしても、会場には女性客が多いですね!

 男性が訪れてくれるきっかけづくりを担っていけたら……。よく、「咳や居眠りをしてしまったら」と思うと観に行くのがはばかられるという意見を耳にします。しかし、いい音楽を子守歌に眠るのも最高の贅沢なんです! さすがにいびきをかかれては困りますけど……(笑)。概念にとらわれず、一度興味のある公演にお越しいただけたらうれしいです。

― 今年度、おすすめの公演は?

 どれもこれも、おすすめですけれど!オペラでは、10月にウィーンの森バーデン市立劇場の「椿姫」が行われます。そして、私もとても楽しみにしているのですが、11月にはフランス国立リヨン管弦楽団がきて、ドビュッシーやメンデルスゾーンの名曲を聴かせてくれます。また少し先になりますが、来年2月には、ベルリン国立歌劇場バレエ団の芸術監督で日本でも人気を集めているウラジーミル・マラーホフの舞台が控えているんですよ。

― それでは、最後に、今後の豊富をお聞かせください。

 もちろん、税金を使って財団が運営されているわけですから、県民に還元していかなければということを肝に銘じています。そのために、大きな公演と、県民との触れ合いに重点を置いたレクチャーやワークショップも積極的に行い、価格も含めてバランスのよいプログラムを組んでいきたいです。県民のみなさまにはぜひ、何かひとつでも興味のあるものを見つけて、楽しんでいただきたいと思います。

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