Vol.36 2007 SPRING
ようお越し!
時代を超えたワンダーランドへ
桂文我(かつら ぶんが) 独演会とこども落語ワークショップ

小3にして目覚め一直線で落語家に
「落語は一点集中の芸。その中に、ワンダーランドが存在してるんです」
と、語る桂文我さん。この夏県内3カ所での独演会と、こども落語ワークショップの講師として、大分を訪れます。
初めて落語を聞いたのは幼稚園時代、親類に連れられて行った寄席でした。が、言葉自体もよくわからず、自分だけがおいてきぼりのように感じたそうです。そして小学校3年生頃、幼稚園の時聞いた噺をラジオで耳にします。言葉も、ギャグ一つひとつもよくわかる。あの時なぜ、大人たちが笑っていたのかも!それからは落語の虜。
「野外の写生会みたいなのがあると、絵を描かんと落語をやってましたね」
中学では仲間と自主的に落語研究会を結成。そのメンバーと共に、必修クラブに落語があった高校へ進学します。卒業と同時に桂枝雀師匠に弟子入りし、念願の落語家の道へ。
現在は出身地である松阪を拠点に全国を飛び回る文我さん。今年は上方落語にも欠かせない「お伊勢参り」のネタをまとめたいと考えています。

言葉と面白さは時代を超えて共通
落語家の出入りの時に演奏される「出囃子」。それに加えて上方落語では随所に効果音としてお囃子が入り、場面を盛り上げます。他にも怪談噺の舞台上に幽霊役を登場させるなど、上方は派手な演出が特徴的です。
しかし、上方落語と東京落語の大きな違いとして、文我さんは言葉にも注目します。
「東京落語は現在は使われていない、江戸っ子弁をけっこう使うことがある。『てやんでえ』とか『するってえと何かい』とか。しかし、上方落語はほとんどと言っていいほど、今の大阪人が使っている言葉でやっている。日常会話の大阪弁です」
昔の話といっても、どこか親近感があります。
「現在の大阪人が昔の世界にも居たんだと。つまり、時代が変わっても『人間の面白さは一緒だ』というのが、言葉の上でも現れているんです」
一方で作りのいびつさから、演じ手が無くなった落語もあります。文我さんはそれらを掘り起こして再構築し、「復活落語」として新たな上方落語を誕生させています。桂米朝師匠が手掛けていた分野ですが、文我さんによって、その道も切り開かれ続けています。
生落語の快感をこどもにも大人にも
落語絵本の著者としても人気の文我さん。そのベースとなっているのが、14年前から主催する「おやこ寄席」です。
こどもたちが最良の状態で落語を体感できるよう、例えば収容人数も一定数で区切ります。ベストバランスを守れるのなら、1日5回・6回の公演数になるのも全く厭いません。
「『面白くない』と言う子や、おいてきぼりを作りたくないんです」
すべては落語のおいしさに出会ってもらうためーその思いが文我さんの活力源となり、休む間もない活動を後押ししているように感じられます。
この夏に現れる二つの”文我的ワンダーランド“。どんな仕掛けが詰まっているかは、乞うご期待。大勢で一緒に笑い合えば、楽しさは何倍にも膨らみます。

桂文我
かつら・ぶんが
昭和35年、三重県松阪市出身。昭和54年に桂枝雀に入門、桂雀司を名乗る。平成7年に四代目・桂文我を襲名。現在年間300回以上の高座をつとめ、各地で「桂文我独演会」「桂文我の会」等を開催。またこども向けの落語会「おやこ寄席」も各地で開催している。
〈オフィシャルサイト〉
「桂文我倶楽部」 http://www.katsurabunga.net/
「四代目 桂文我のおやこよせ」 http://oyako.katsurabunga.net/
〈著作物〉
『復活珍品上方落語選集』(全3巻・燃焼社)、『落語「通」入門』(集英社)、『メッケもん! 掘り出し珍品図鑑』(ポプラ社)、『ようこそ! おやこ寄席へ』(岩崎書店)、『ごくらくらくご』(全2巻・小学館)、『えんぎかつぎのだんなさん』(福音館書店)他多数

日時 | 2007年8月4日(土) 13:00〜15:00 佐伯市保健福祉総合センター「和楽」 |
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2007年8月4日(土) 19:00〜21:00 iichiko音の泉ホール |
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2007年8月5日(日) 14:00〜16:00 くすまちメルサンホール |
日時 | 2007年7月〜12月 (月1回/全6回) |
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会場 | iichiko Space Be |
講師 | 桂 文我 |
参加料 | 6000円 6月受付開始 |
定員 | 20名程度 |
公演に関するお問い合せ/ (財)大分県文化スポーツ振興財団 TEL097-533-4004 |