Vol.35 2007 WINTER

特集 人形浄瑠璃 文楽 大分公演

人形浄瑠璃 文楽時空を超えて、目の前に蘇る。

作品の思いは 観客が引き出す

昨年9月に87歳で亡くなった、重要無形文化財保持者(人間国宝)の吉田玉男さん。人形遣いの第一人者として、長年にわたり多くのファンを魅了しました。写真で遣っているのは「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」の政岡。写真提供/(財)文楽協会

 人形が演じ、男性である太夫が全てを語り、三味線だけで音の世界を作る文楽。しかし人形ならではの動きが役柄の心理を強調し、義太夫節は役そのままの人の声やリアルな合成音以上に、感情の機微や情景を描き出します。  
  竹本津駒大夫さんが、こんなことを言ってらっしゃいました。  
  「伝わる時は、お客さんが作品の中から引き出してくれる。演奏家の立場ちゅうのは触媒であって、作品に込められた思いっていうのは、お客さんがそこから感じ取るものと思うんですよ」  
  わずかに下を向く人形の顔に悲しみを読み取るのも、微妙な間や音の変化から場の空気を推し量るのも、感受性が働いてこそなせること。江戸期のままの限定された様式は、見る人それぞれの経験や知識、イメージと結びつきます。そうやって作品に入っていくことで私たちの中にも、作品に込められた”情“が流れ込んできます。  
  300年の昔の人が伝えようとしたものを受けとめた時、私たちは時空を超えた感動を味わいます。江戸の世の人をうならせ、喝采を贈らせた感動を。  
  それぞれの持ち味というものはあるでしょう。しかし担い手の方々が目指しているのは、個人の見せ場とする技でなく、作品の情が伝わる芸。だからこそ文楽は伝統芸能ながら世襲なしの実力世界であり、人間国宝といえどもさらに深い表現を追求し続けています。  
  切ないくどきにほろりと涙し、運命にじっと耐える身の震えに思わず唇をかんだ時ー私たちは時空を超えて、文楽の作り出す世界に引き込まれているのです。

津駒大夫さんの床本「冥土の飛脚 新町の段」写真提供/(財)文楽協会

ゴールはありません。
その都度その都度、
作り上げるものです。

太夫 竹本津駒大夫 (たけもと つこまだゆう)さん

profile
昭和44年、四代竹本津大夫に入門、竹本津駒大夫を名のる。昭和45年10月、朝日座初舞台、昭和64年1月、五代豊竹呂大夫の門下となる。

竹本網大夫・鶴澤清二郎写真提供/国立文楽劇場

文楽はスターがいてそうでいてない。
みんなが一丸となってやっています。

三味線 鶴澤清二郎 (つるさわ せいじろう)さん

profile
昭和51年、十代竹澤弥七に入門、研究生となり、祖父(鶴澤藤蔵)の前名鶴澤清二郎を名のる。昭和53年、鶴澤清治門下となる。昭和58年7月、朝日座で初舞台。

義経千本桜・伏見稲荷の段 写真提供/国立文楽劇場

面白いけど、難しい仕事です。
でも好きやからできるんでしょうね。
嫌いでやってる人はいないけど、『好き』の度合いが違う。

人形 桐竹勘十郎 (きりたけ かんじゅうろう)さん

profile
昭和42年7月、文楽協会人形部研究生となる(14才)。三代吉田簑助に師事、吉田簑太郎と名のる。昭和43年4月、文楽協会技芸員となる。初役は、大阪毎日ホールにおける「壇浦兜軍記・阿古屋琴責の段」の水奴。平成15年4月、大阪・国立文楽劇場において、三代目桐竹勘十郎を襲名「絵本太功記・尼ヶ崎の段」の武智光秀で披露。同年5月、東京・国立劇場につづいて「尼ヶ崎の段」の武智光秀で三代目桐竹勘十郎を襲名披露。

義太夫と近松の運命的な出会い

役柄によって様々な種類のかしらを使い分けます

人形浄瑠璃 文楽 大分公演
日時 2007年3月6日(火) 
昼の部 13:00開場 13:30開演 
夜の部 17:30開場 18:00開演
会場 iichiko音の泉ホール
演目 昼の部 菅原伝授手習鑑 寺入りの段・寺小屋の段 / 釣女
夜の部 曽根崎心中 生玉社前の段・天満屋の段・天神森の段
料金 A席4,000円 B席3,000円 2007年1月13日より発売開始
主催:財団法人 大分県文化スポーツ振興財団 TEL097-533-4004

前のページ  1 | 2 | 3 | 4  

このページのTOPへ戻る